泣きたい男たち

「友達の結婚式で泣きたかった」とＩさんが言っていた。

詳しく聞くと、行った結婚式で新婦の両親への手紙が省かれていたから、普通だったらそこで両親と共にああしたこうしたと振り返って泣ける所だったのに、それができなくて残念だった、と言う話であった。

結婚式ねぇ。
私は数少なく呼ばれた結婚式も、そこで泣こうなんて考えたことがなかったので、「へぇ。」と言う感想しか出てこなかった。
泣くって言ったって、そんなに親と離れたくないのなら結婚しなくてもいいんだし・・と言うさばけた考えしか浮かばない。

そう言いながら、自分も駆け落ちみたく家を出た日には泣いた事もあったがな。

それでも嫁入りするおなごと両親でもらい泣きをしようと言う発想は私には無い。女だからなのか、年を取ってるからなのか、ひねくれているからなのかは分からないけど。
　
前の会社の男の子達も、こういう種類の泣き方をするのが好きだった気がする。
映画とかで泣くのが好きだった。
きっとこんな気持ちに違いない、と勝手に舞い上がって泣くやり方だ。

私の方が変なのかもしれないが、泣きのツボが何だか違う。


私の友達で今度は旦那の借金が分かってしまった。
詳しくは分からないが、かなり高額だと思う。

これから、彼女はどうするのだろう。
言葉は浮かばない。
彼女の事がリアルで気がかりだ。

こう言う場面で前の男の子達は、どの程度感情移入するだろうか。
案外、さばさばと結論だけ出すかもしれない。
「泣きたい」って言っても、きっとあれとそれでは意味が違うんだろうな。
感じたい種類が。

年齢もあるのかな。
誰もがこれから幸せに平和に暮らしていけるなんて、あり得ない事だとどこかで悟ってしまったのかもしれない。
人間なんてさ。

元夫から電話がくる

１週間ぶりに元夫から電話が来た。
明日は養育費を払うと言う連絡である。
携帯は壊れて新しいのに変えた、と言う。
番号も教えてもらった。

「あ、私も携帯買ったけど・・」
折り返し掛ければ番号が分かるから、と言われて掛けようとするが、プリペイドが切れていて掛けられなかった。
そろそろもうカードを買おうか。

でも、私の番号はどうでもいいように見える。
向こうから私には何の用事もないんだった。よく考えてみれば。
そう言う全てが昔は悲しくむかついたが、今はどうでもよかった。
養育費さえ入れば、後はどうでも。
　
もう少しの辛抱だ。
これが終わったら、本当に縁が切れるんだから。