きっと、いいことあるよね!

母(sake)と息子(keke)の日々の記録。
お出かけ写真と料理など。

「満月の夜 母を施設に置いて」/藤川幸之助さん

2013-08-15 | 読んだ本
藤川幸之助さんの詩集である。
認知症のお母さんへの思いがこめられた詩が綴られている。

これを読んで、またまた涙があふれてくる。
ぞんざいながらも、私も週1で父の元へ通っているので、そのお母さんの様子も、施設のようす、「死なせてください」と言い続けるおばあさんの話(父の所にも同じようなおばあさんがいる)、目に浮かぶように想像できる。

だからこの方のお母さんへの愛情も、正直な気持なのだろう。
それは本当に深くて悲しいくらいに優しい。

妹が言ったことがある。
「息子の母への思いは特別よ」と。
パパの顔を見ると分かるもの、と言う。
だからkekeもきっとお姉ちゃんを・・・と言ったのははるか昔のことだった。
離婚したとかそのぐらいの頃。


それに比べると、娘と父は冷静だ。
私自身に情がないだけのかもしれない。

いたわる愛情より、「尊敬」みたいな、とでも言おうか。
昔のアニメに、主人公の男の子が「おかあちゃぁん~」と叫ぶ場面はよくあるけど、娘が「おとうさん~」と叫ぶ場面はあまり無い、そんな例えで分かるだろうか。かと言って情が無いわけではない。

この方はこれだけ愛情がありお母さんをいたわいながら、「殺してしまおうかと思ったこともありました」とも書く。私はそれが逆にあることで、お母さんへの優しい気持をますますリアルに感じるのである。
ただただ愛情やいたわる言葉だけでは、きれいごと過ぎてうそっぽくなってしまう。

さし絵を描いた松尾たいこさんは「このお話をいただいた時にきれい事を並べたようなものだったらいやだな、と思っていました。でもまったく違っていました。」と書いてある。
人の心を動かすのは、偽りない素直な気持だからなのかな。
それが正しいだろうが、そうでなかろうが関係なく、いやそもそも思いに正しいも間違いも無く、その時その時、その人がそう感じたこと、それは全てたいせつなこと。次につながる一歩。
光り輝くこと。

そんなことを考えた。


妹は妹で、父といっしょに暮らして面倒をみていたのだから、私とはまた違ういろんな思いがあるだろう。
私よりずっと思いも深いものがあるだろう。
私は距離があった分、愛情も薄いがいらだちもそれほど知らずに済んだのだ。

私はでも、自分の気持も素直にみつめて、それはそれで良しと思うことにする。
親へもそうだし、人への思いは、人の数ほどいろんな形があって良いのだと思う。


それから余談だが、対話をしている谷川俊太郎さんは教科書に出てくるような有名な詩人の人ではなかろうか。
私は昔の人だとばかり思っていたので、対談をしているのでビックリしてしまった。
今度、谷川さんの詩集も借りてみよう。