週もあけて出勤すると、nanuさんと課長がブルブル震えながら立っている。
エアコンをつけたばかりで、部屋の中がまだ寒いのだ。
座ることすらままならずエアコンの前で立っている。
毎年冬はこうである。
私は隅っこにポン!と無造作に置かれた大きな袋を眺めた。
中を開けると、いっぱい使用済みの紙袋(手提げ付き)が入っている。
よく見ると、しっかり丈夫な紙で作られた紙袋である。
ハハアと私は思う。
「これは社長が置いて行ったんですね」と言うと、後から来た秀クンが「土曜日の朝来てたからそうみたい」、と言う。
なんで社長の置いて行ったものかと分かったかと言うと、紙袋がやたらブランド品っぽかったからである。
こんなに豪勢な買い物ができるのは社長しかいないからだ。
たまに書類を運ぶのに「sake君、紙袋は?!」みたいなことになるので、社長が家にある要らない紙袋をいっぱい会社に持ってきてくれたのだろう。そのありがたい紙袋を私は丹念にあれこれとあさって、2枚ほどいただいた。
1つは見ると「GUCCI」と書いてある。モコと同じチョコレート色なので、これをしばし毎日通勤に使わせていただくことにした。
もう1つの紙袋は何たらかたらと横文字が書いてあるので、同じ綴りをネットで検索してみると、イタリヤブランドのようである。試しにメッセンジャーバッグをクリックしてみると、20万と書いてある。そしてよく見ると、そのバッグの外面が社長が最近持ち歩いているバッグと同じなのであった。あのじゃばらみたいなバッグは何十万もする代物だったのか。。。。(そしてこの小さな紙袋は、奥さんかお子さんにサイフでも買ってあげたのだろうか。)
この紙袋はグッチが破れたら使わせてもらおうと思う。
夕方になり、社長が帰ってしまうと、nanuさんも秀クンもそろそろ帰ろうと言う雰囲気になった。
私はグッチの紙袋にカラの弁当箱などを入れ、「あそこにあったグッチの紙袋です。しばらくこれでお金持ち気分を味わいますよ、ハハハ」と自虐ギャグを披露した。
秀クンは「sakeさん、どういう意味だか分かる?」と言い、「オレ達みんなで稼いだお金が、これに変わってるんだよ。」と言い、nanuさんは苦笑いをしていた。
私はお金持ちごっこをしながら、でも何十万のイタリアンバッグより、自分が今使ってるバックの方が、「私はこんなに偉いのよ!」みたいな主張がなくて、でも軽くてやわらかくて、いろいろ入って、温かみがあってずっと気に入っているのだった。
エアコンをつけたばかりで、部屋の中がまだ寒いのだ。
座ることすらままならずエアコンの前で立っている。
毎年冬はこうである。
私は隅っこにポン!と無造作に置かれた大きな袋を眺めた。
中を開けると、いっぱい使用済みの紙袋(手提げ付き)が入っている。
よく見ると、しっかり丈夫な紙で作られた紙袋である。
ハハアと私は思う。
「これは社長が置いて行ったんですね」と言うと、後から来た秀クンが「土曜日の朝来てたからそうみたい」、と言う。
なんで社長の置いて行ったものかと分かったかと言うと、紙袋がやたらブランド品っぽかったからである。
こんなに豪勢な買い物ができるのは社長しかいないからだ。
たまに書類を運ぶのに「sake君、紙袋は?!」みたいなことになるので、社長が家にある要らない紙袋をいっぱい会社に持ってきてくれたのだろう。そのありがたい紙袋を私は丹念にあれこれとあさって、2枚ほどいただいた。
1つは見ると「GUCCI」と書いてある。モコと同じチョコレート色なので、これをしばし毎日通勤に使わせていただくことにした。
もう1つの紙袋は何たらかたらと横文字が書いてあるので、同じ綴りをネットで検索してみると、イタリヤブランドのようである。試しにメッセンジャーバッグをクリックしてみると、20万と書いてある。そしてよく見ると、そのバッグの外面が社長が最近持ち歩いているバッグと同じなのであった。あのじゃばらみたいなバッグは何十万もする代物だったのか。。。。(そしてこの小さな紙袋は、奥さんかお子さんにサイフでも買ってあげたのだろうか。)
この紙袋はグッチが破れたら使わせてもらおうと思う。
夕方になり、社長が帰ってしまうと、nanuさんも秀クンもそろそろ帰ろうと言う雰囲気になった。
私はグッチの紙袋にカラの弁当箱などを入れ、「あそこにあったグッチの紙袋です。しばらくこれでお金持ち気分を味わいますよ、ハハハ」と自虐ギャグを披露した。
秀クンは「sakeさん、どういう意味だか分かる?」と言い、「オレ達みんなで稼いだお金が、これに変わってるんだよ。」と言い、nanuさんは苦笑いをしていた。
私はお金持ちごっこをしながら、でも何十万のイタリアンバッグより、自分が今使ってるバックの方が、「私はこんなに偉いのよ!」みたいな主張がなくて、でも軽くてやわらかくて、いろいろ入って、温かみがあってずっと気に入っているのだった。