野球では常に真のリーダーシップが問われていますので、申し訳ありませんが、野球の話ではありません。歴史的な大惨敗で野党転落が確実な自由民主党の話です。
リーダーシップについては、これまで何度か書いてきましたが、リーダーシップとは「目標達成に向けて人を動かす影響力」であり、「権限」「情報や専門能力」「人間的魅力」など様々なあり方があります。また、いつも同じではなく、状況によって必要なリーダーシップは変わってきます。
55年体制下の半世紀は、政権を獲ることは当たり前で、総理総裁の座を射止めるという目標達成のために、金を集め、子分にばらまき派閥を作るという影響力を行使してきました。それが効果的なリーダーシップだったわけです。対外的にも(有権者に対しても)、特定の支援組織に対する利益誘導を図ることが効果的なリーダーシップ(影響力の行使)だったわけです。
しかし、8月30日を境に状況が一変したわけです(もっと言えば、高度成長が終焉した時、小選挙区制が導入されて派閥の影響力が低下した時、小泉首相が新たなリーダーシップを示して自民党をぶっ壊すと宣言した時から状況は変わっていたのです)。状況が変われば、それに応じたリーダーシップが必要となりますが、今は混乱の極みで新たなリーダーを選べるのかどうかという状況です。
次の総裁候補の呼び声が高かった舛添要一厚労大臣が総裁選不出馬を表明しましたが、それにあたって森元総理に報告に行ったそうです。このこと自体が、状況の変化をまったく理解していると思えませんし、そういう人がリーダーにならなくて良かったと思います。そもそも、もはや派閥政治の時代ではないのに、キングメーカー気どりで歴代の政権に影響力を行使し続けようとした森元総理も麻生総理と同じくらい責任は重いはずです。総理としては史上最低くらいの支持率で辞任せざるを得なかったにもかかわらず、後を継いだ小泉元首相が派閥活動に興味がないことをいいことに、小泉元首相が他派閥の力をそぐことに乗じて自派閥を伸ばし、小泉人気で当選した新人議員を自派閥に入れて勢力を伸ばすという他人の褌で相撲をとる典型のような政治家です。今回の総選挙で自民党に下された批判票は、こうした旧来の自民党的体質に対してのものでした。それを分かっていれば、所謂派閥の領袖などの意見は一切聞かないのが当然でしょう。
また、16日の首班指名でA級戦犯である麻生首相の名前は書くだ書かないだですったもんだしていますが、今そんなことをしていられる時かどうか(少なくともそんな状況を国民の目にさらしている時かどうか)をよく考えるべきでしょうね。手続き的には、新総裁を選ぶのに時間はかかるでしょうが、ここで清新な新総裁を選べなかったら、本当に自民党は終わりでしょう。旧来の自民党からの変化を示す最低限の条件は、世代交代です。少なくとも町村、古賀、谷垣、高村、二階などの派閥領袖が新総裁になることはあり得ないでしょうし、加藤紘一などの昔の顔で出ていますもあり得ません。そもそも、もう派閥なんて言っていられる状況ではなく、率先して解散して挙党一致にもっていけるようなリーダーシップを発揮できるような人がいないとちょっと厳しいと思います。しかし、残った議員は結構年寄りが多いので、次の選挙までちょっと自民党は厳しいでしょうね。