ちくま学芸文庫 台湾総督府 古写真が語る 台湾 日本統治時代の50年 1895-1945
77歳になった私だが、1歳数か月で死に別れた父親を想う気持ちは途切れることはない。
早稲田の建築を出て、なぜか台湾総督府の建築技官となっている。
随分以前、インターネットで父親の名前を打ち込んでググってみたら、昭和9年に「總督官房營繕課」に配属されていることを知った。
そして「ル・コルビジエ」に関する論考を発表していることなどを知り驚いたことだった。
10年には姉が生まれている。そして13年には休職している。この時期病を得て帰国したのか、祖父が小石川の細川侯爵家に勤めていたので、ここに親子三人厄介になった。私は昭和17年ここで生まれた。
台湾にいたのは4年程か、台湾には関わった建物が有ると聞くが、どこに在るのか、何の建物なのか、現在残っているのか、皆目わからない。
そもそも「台湾総督府」なるものが、私の理解の外にある。
本を読んで少々勉強をして、父親に一歩近づいてみたいと思っている。