上妻文庫の「肥後風刺文学」をながめていたら、「梅洞くどき」という一文があった。
「梅洞」は熊本市松尾町近くの「うめどう」か?、「くどき」は「口説き」であろう。
「口説き」について、デジタル大辞泉では次の様に解説している。
1 くどくこと。また、その言葉。「口説きじょうず」「口説きに掛かる」
2 日本音楽で、楽曲の構成単位の一。
㋐平曲で、素声(しらごえ)に近い単純な旋律をもつ曲節。また、それによって演奏される部分。
㋑謡曲で、慕情・傷心などの心情を吐露する、拍子に合わない語りの部分。
㋒浄瑠璃で、恋慕・悲嘆・恨みなどを切々と訴える部分。一段中の聞きどころとなる。
㋓長唄で、詠嘆的な心情表現をする部分。
3 口説き歌が江戸時代に沖縄に伝わったもの。多く踊りを伴う。くどぅち。
4 「口説き歌」「口説き節」「口説き模様」の略。
全文を読み下すにはまだ時間を要するが、これはどうやら俗謡の歌詞らしく思える。まさに「口説き」ではないか・・・
梅洞くどき
梅洞くどきさあよいさてよい奈ア 今のうき世はお慈悲のうき世
て連バ照てゝあまごひなさる 婦連ばふる■■せいうの御■■
そ連ニ去年はどふし■として田うへ時にハ・・・・・・
これで約1/4ほどだが、御覧の如く読解が難儀である。その出典として「吹寄巻五の五十五」「寺本見聞雑記」が挙げられている。
この二つの資料と見比べれば、何とか全文の解読が出来そうである。
「寺本見聞雑記」とは、寺本直簾の「古今肥後見聞雑記」であろうと思われるが、これは天明四年頃の作とされるから、この「梅洞くどき」もそれ以前まで時代が遡る古い俗謡だということになる。
梅洞地区にこれが残されているのかどうか、現況知るすべがない。まずは資料を取り寄せ「読み下し」に頑張ろうと思っている。