津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■石光真清「城下の人」から

2024-07-25 06:03:32 | 書籍・読書

 石光真清著「城下の人」から、主人公の熊本時代を精読した。
その中の「神風連」の項を読んでいたら、この事件を予見して行動をしていた人がいたことが書かれている。
主人公の近所に住んでいた太田黒惟信は神風連の浦楯記等に踏み込まれたが、いち早く隣家に逃れて事なきを得たが、浦らは太田黒の屋敷に火をつけて退散した。
処が近所の嘉悦邸では、廃刀令を切っ掛けに神風連が何かしら行動を起こすのではないかと事件の三日前から、近所の進歩派の家の夫人たちが嘉悦邸に寄り集まり、
「主人が留守」だと言い募って毎夜かがり火をたき宴を催していたと記されている。

太田黒邸に浦らが踏み込んだのは、その三日目の事だと記している。進歩派の方々の家が襲われることはなかったようだが、この作戦が功を奏して襲われなかっ
たのかどうかは良くわからない。

しかし、そんな作戦に出たという事は、神風連の何らかの行動を起こすのではないかという、確信的な情報を得ていたのであろう。
そうだとすると、官軍がまさかの急襲を受けて初戦にて痛烈な痛手を負ったことは、情報収集が確かではなかったことを物語っている。
この小説は、石光真清の手記をご子息真人氏がまとめられたものである。嘉悦邸とは嘉悦孝子の屋敷だが、まさか作り話ではあるまい。

コメント
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