本橋成一氏50歳前のモノクロ写真集。
『老人と海』(与那国島の写真)や『サーカスの詩』などの氏のカラー写真よりも、個人的にはモノクロ写真のほうに惹かれる。場所、人、そこにある物、すべてに親近感を抱いてしまう不思議がある。
きっとライカM6やキヤノンF1などを持って、一澤帆布のバッグを肩に、飄々と笑って市場を歩いていたのかなと想像させられた。
いま築地市場は豊洲への移転が検討されている。機能を拡張することは悪い話ばかりではないと思うが、豊洲の土壌汚染対策の不十分さや、残された築地の土地売却など、嫌な経済至上主義ばかりが目に付く。それらとは対極にある、人間至上主義が顧みられるべきだと感じた。 →本橋氏の最近の写真展