Sightsong

自縄自縛日記

中国の麺世界 『誰も知らない中国拉麺之路』

2008-12-30 01:43:05 | 中国・台湾

中国で食べる麺はあまりにも多彩で、もちろん旨いものとまずいものとがあるが、その拡がりは日本のラーメンとは性質を異にしている。たぶん日本のラーメン・ランキングのような形は中国では成立しないだろう(尺度が違う麺同士を比較できない)。それに、全貌を知っているひとはほとんどいないに違いない。樹形図があるわけでなく、ほとんど現象で成り立っている。・・・というようなことが、坂本一敏『誰も知らない中国拉麺之路 日本ラーメンの源流を探る』(小学館、2008年)を読むと、強く印象に残る。

山西省太原は刀削麺の本場であるとされており(西安ではない)、私も何度か旨いものを食べさせてもらった。刀削麺の作り方はいろいろあって、粉を練った塊を指や刀や箸で湯をめがけてとばしていくものだが、この塊を頭の上に置いて両手で麺を作るひとがいるのだと聞いたことがある。冗談だろうと皆言っていたが、本書にはその写真があった!・・・中国で三人しかできない名人芸だということだ。

また、先日天津を訪れる際に、天津に天津麺や天津丼はあるのかな、と(ないとおもって)冗談を飛ばしていたのだが、このことも触れられている。結論から言うと、天津飯というものはあるが実はまったく異なる料理であるようだ。

そういった個人的な嬉しさはともかく、素材もいろいろ(小麦粉や米粉だけでなく、トウモロコシ、蕎麦、燕麦、コーリャン、緑豆、・・・)、作り方もいろいろ、形もいろいろだということが、本書で開陳されている。ここまで自分の足と舌で中国全土の麺を調べたひとは、他にいないのではないだろうか。ああ面白い。もっと早く出版されていたなら、太原でも平遥でも北京でも上海でももっと麺の開拓ができたはずなのだ。次に中国を訪れる際には、きっと本書で予習するぞと決意した。

読んだら猛烈に中国の麺を食べたくなったので、近くのアジア食材店で3種類の麺を買ってきた(乾麺は本書には取り上げられていないのだけど)。

小麦粉の薄い四角形の麺、「福州面片」。こんなのははじめて見た。

オーソドックスな小麦粉の麺、「切面乾」。

ついでに、タイの「Chantaboon Rice Stick」。太さが2種類あったが、つるつるしたきしめんのような感触を期待して、太いほうにした。

他にもいろいろあった。アジア食材店は(アメ横センタービルの地下もそうだ)、行くたびに取り乱してしまう。

今晩の夕食は、四角い麺にしてみた。スープを作って、最後に投入して2分だけ茹でる。とても旨かったが、すぐに麺がスープを吸ってお互いにくっついてしまうことに気が付いた。スープは多目にしないといけないのだ。