Sightsong

自縄自縛日記

渡辺豪『「アメとムチ」の構図』

2008-12-04 00:32:13 | 沖縄

渡辺豪『「アメとムチ」の構図 普天間移設の内幕』(沖縄タイムス社、2008年)は、『沖縄タイムス』における2008年4月~9月にわたる同名の連載(>> リンク)をまとめたものである。

「アメとムチ」というのは、沖縄の北部振興策などのカネや権力を使って、普天間基地代替という名の辺野古への新基地建設を進めるあられもない姿を指している。

通読して、あまりのパワーポリティクスぶりに呆然とさせられてしまう。ここには、組織的なネゴや権力争いや目くらましや恫喝はあっても、カネを通じて以外の住民への気遣いや、歴史認識は露ほども見られない。また、国家ビジョンも、米国の軍事戦略に如何に乗るか以外のものは悲しいほどにない。

「在日米軍再編の主眼は米軍の世界戦略に自衛隊を取り込む態勢づくりだ。在日米軍の削減は自衛隊増強とセットという安全保障政策の現実が沖縄ではより鮮明に浮かびつつある。しかし、政府はその再編の本質を正面から世論に問うことなく、振興策という「アメ」をまぶしてごまかし、目先の「理解」を得るのに奔走しているのが実情だ。」

「在日米軍再編を機に、全国一律の再編交付金の導入や、在沖米軍機の本土の自衛隊基地への訓練移転など「全国の沖縄化」が始まろうとしている今、基地問題は「沖縄の問題」で片付けられなくなっている。」

いま、沖縄一坪反戦地主会・関東ブロックでも、辺野古基地建設の断念を求める署名を集めている。今年末までに集約し、2009年1月に国会に提出するということだ。(>> リンク