Sightsong

自縄自縛日記

ジョニー・トー『文雀』、『エレクション』

2008-12-13 12:31:14 | 香港

中国・杭州行きの機内で、ジョニー・トー『文雀(Sparrow)』(2008年)を観た。ちょうどジョニー・トーのいま公開されている『エクザイル/絆』(2006年)を観たいなとおもっていたところだった。こっちは日本未公開である。

『文雀』はスリの話。癖のある妙な美女に篭絡され、スリ4人組が美女のパトロンである大物(実はスリ出身)にスリのたたかいを挑む。口に隠し持ったカッターの刃、風船、白黒写真、鳥、ガラス、傘などの小道具が絶妙で、一気に引き込まれる。

主演のサイモン・ヤムが趣味にしている白黒写真は、バルナック型ライカやローライの二眼で撮られている。機内テレビの解像度では機種はわからない。6×6で撮ったはずがプリント時には長方形の印画紙に焼いていたり(トリミングしている可能性もあるが)、予告編ではバルナック型のシャッター音が自動巻上げ機能付きの電子カメラの音になっていたりと、突っ込みを入れたくなるところはあるが、まあそれだけで嬉しくなるのは確かだ。

●『文雀』予告編 >> リンク

あまりにも面白かったので、録画しておいた『エレクション(黒社会)』(2005年)を、きのう帰国して今朝早々に観た。こちらは香港マフィアものであり、暴力描写もある。しかし、ひとつひとつのシーンに工夫がほどこされていて厭にならない。警察の留置場のなかでマフィア同士が交渉をしたり、マフィアの会長の証を奪い合っている際に両方に電話がかかってきたりするシーンなどは秀逸。

2本観ただけで、すっかりジョニー・トーのファンになってしまった。『週刊金曜日』における北村肇による『エグザイル/絆』評によると、『エレクション』後、ジョニー・トーは娯楽映画に回帰したということだ。『エグザイル/絆』もきっと激しく面白いに違いない。