ジュニア・マンスのアルバムは2枚だけ持っていた。安心できてしみじみとするブルースなので、時々出してきては聴いている。けれども、それだけに、もう2枚あれば十分だと思っていた・・・自分にとってはそのくらいの存在感のピアニストである。
1998年だかに新宿ピットインで演奏を聴いた。枯れていて嬉しかった。いまもピアノトリオ作をときどき出しているようなので、最近の枯れた録音も1枚くらい欲しいとおもって、数日前にディスクユニオンの中古コーナーを物色した。『With a Lotta Help from My Friends』(Atlantic、1970年)という妙なものを見つけた。
ジャケットのセンスは最高
共演者が「らしくない」。エリック・ゲイル(ギター)、チャック・レイニー(エレキベース)、ビリー・コブハム(ドラムス)という、フュージョン畑のスタジオミュージシャンたち。それでもマンスの演奏は相変わらずブルージーであり、執拗なリフが格好いいのだ。ジャズはプロセスでもあるから、異色作を作るマンスという存在を聴く記録でもあるようにおもった。まあ、はっきり言ってダサくもあるのだけど・・・。
ジュニア・マンスの名演と称される作品は、マンス30歳のときの初リーダー作『Junior』(Verve、1959年)。これは誰が聴いても素晴らしいとおもうに違いない。若いだけあって後年のプレイよりも緊張感があり、「Love for Sale」など選曲も良い。前につんのめるようなレイ・ブラウンのベースを聴くための録音でもある。
『That's Where Is Is!』(Capitol、1964年)は、プレイがより弛緩してきていて、実はこちらのほうが好みではある。リラックスした「St. Louis Blues」や「God Bless The Child」が嬉しい。きょうは福岡に行って飲み食いしてきたので疲れていて、これでこちらも弛緩する。
サインをもらった
これでCD棚にあるマンスは3枚だけ。もうお腹一杯。