沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが集めている、辺野古基地建設反対の署名を集めたので送った(>> リンク 署名提出は年内)。
ついでに、ここのYさんが先日送ってくれた、『あけもどろ』(野村岳也・田野多栄一、1972年)のDVDを観た。半年ほど前にneoneo坐で観て以来だ(>> 記事)。
『あけもどろ』は、沖縄県読谷村において土地を米軍に強制収用されたひとびとのドキュメントである。題名は、『おもろさうし』の文章、「天に鳴響む大主 明けもどろの花の 咲い渡り あれよ 見れよ 清らやよ」(太陽よ、朝日に照らされた花が咲き、美しい)から引用している。
読谷村の土地強制収用については、通称「象のオリ」(楚辺通信所)などで有名になった。このドキュで中心となって描かれるのは、集落ごと隣の比謝集落に移転し仮住まいを強いられた渡具知集落のひとびとである。住民同士で話し合い、土地追い出しに反対し、その一方で米軍フェンスの内側・「耕作黙認地」において農業を営み、清明(シーミー)という祭りでもフェンスの中にある祖先の墓前に集まり宴を開いている。
この時点ですでに基本的人権の侵害が明らかなのだが、さらに、土地収用の見返りとして支払われるオカネによって「おかしなこと」になっているのは、ざっくり言えば、基地のあるところ、原子力のあるところに共通している。ドキュでも、一旦土地を強制的に預かりそれを米軍に貸す防衛施設庁(現・防衛省)が、地元の小学校などにオカネを投じ、また、形ばかりの説明会を開いている様子が記録されている。前回観たときと同じ、いまと変わらない日本のありさまだという印象だ。
又吉栄喜『鯨岩』(光文社、2003年)は、「軍用地主」にオカネが払い込まれることによって起きる歪みをユーモラスに描いていた。以前読んだときには、その軽さがとても気になったが、軽さによって風の音のように立てられるノイズこそが、この作品の狙いだったのかな。あまり好きになれない小説だが。
●参照
○坂手洋二『海の沸点/沖縄ミルクプラントの最后/ピカドン・キジムナー』
○短編調査団・沖縄の巻@neoneo坐
○ゆんたく高江、『ゆんたんざ沖縄』
○基地景と「まーみなー」
○読谷村 登り窯、チビチリガマ