想田和弘『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』(岩波ブックレット、2013年)を読む。
なぜ、「橋下人気」という現象が起きたのか。またなぜ、明らかに人権を制限する憲法の導入をはかる安倍政権が、その人権を剥奪される側の者に支えられているのか。
著者は、その根本的な理由のひとつとして、「消費者民主主義」を挙げる。それは、主権者・有権者として「政治に参加しよう」「理解しよう」という態度ではなく、政治サービスの消費者として「分かりやすく示してくれる」政治を求める姿である。
自ら関心を持たなければ、耳当たりの良いキャッチコピーや、消費者の不満のぶつけ先を示してくれる仮想敵国政治は、確かに、一定の支持を集めるに違いない。さらには、政治に興味を持たない「頭の良い消費者」は、それによって、支持しない政治を間接的に支えている。