Sightsong

自縄自縛日記

ずっと憧れていた江戸前の穴子寿司

2014-03-23 22:51:38 | 関東

所用があって、千駄木に足を運んだ。この町には、ハタチになるちょっと前から4年以上住んだ。それも20年くらい前のことなので、何やら新しい店がたくさん出来ている。懐かしい店は消えてなくなっていたり、どこにあったか記憶が混乱したり。

その頃から、「乃池」という寿司屋にはずっと行ってみたいと憧れていた(住所は谷中)。何しろ、好物の穴子寿司をウリにしている店である。しかし、寿司屋というものは、学生にとっては敷居が高い。そんなわけで、好機到来とばかりに、二十年来の恋を成就させた。

穴子寿司は八貫で2,500円。フワフワに柔らかく煮てあって、濃厚なツメが塗ってある。期待通り旨かった。・・・だが、もう、「まだ行ったことがない憧れの店」ではなくなったわけであり、胸にぽっかりと穴が開いたようだ(大袈裟だな)。

ところで、道を挟んだ向かい側には、「朝日湯」という銭湯があって、定休日以外には毎日通っていた。「谷根千」(谷中・根津・千駄木)に住むなら、風呂なしで銭湯に通うのが粋というものだと言い張っていた。(探したらホームページがあった。懐かしくて吐きそうになる

その横には「砺波」という小さい中華料理屋があって、湯を浴びた帰りに、洗面器を持って立ち寄り、春巻とかアジフライをよく食べた。

というようなことを思い出しながら乃池を出ると、目の前には、まるで変わらぬ「朝日湯」と「砺波」があった。冗談のようだ。ぜひまた食べに来て、こっそりと感慨にひたらなければならぬ。

iphoneで撮影


ベルナルド・ベルトルッチ『ラストタンゴ・イン・パリ』

2014-03-23 10:05:08 | ヨーロッパ

ベルナルド・ベルトルッチ『ラストタンゴ・イン・パリ』(1973年)を観る。

公開当時は性描写の凄さばかりが取り上げられたというが、さすがに40年以上前の映画であり、もはやさほどの過激さを感じることはない。しかし、主演のふたり(マーロン・ブランド、マリア・シュナイダー)は、この映画に出てしまったために、私生活でも散々な憂き目を見たという。1976年には、大島渚『愛のコリーダ』がやはり猥褻映画だとして大騒動の元となっており、両作品は時代にぶつけられた爆弾のようなものだったのかもしれない。 

そのような興味よりも、この映画の見所はたくさんある。

ヴィットリオ・ストラーロの撮影による黄色くハイコントラストな映像、舐めるようなカメラワークには目を奪われる。

オープニング画面には、いきなりフランシス・ベーコンの絵が2枚現れる。欲の塊となったふたりの姿でもあるようだ。

全編に流れ続ける、ガトー・バルビエリの塩っ辛いサックスも素晴らしい。 

このとき、マーロン・ブランドは40代後半(映画では45歳という設定)。醜さを発散する演技はさすがなのだが、実は、『ゴッドファーザー』も同じ年に公開されている。同じ時期に、かたや欲望を漲らせた中年男、かたや枯れたマフィアのボスを演じたということだ。ちょっと信じ難い。

●参照
ベルナルド・ベルトルッチ『ラストエンペラー』(1987年)
ベルナルド・ベルトルッチ『魅せられて』(1996年)
ガトー・バルビエリの映像『Live from the Latin Quarter』(「Last Tango in Paris」を吹く)
ガトー・バルビエリ『In Search of the Mystery』
フランシス・ベーコン展@国立近代美術館
池田20世紀美術館のフランシス・ベーコン、『肉への慈悲』
『人を動かす絵 田中泯・画家ベーコンを踊る』