西川伸一さん(明治大学)によるアジア記者クラブ主催の講演「戦後19回の都知事選から分析した都民の投票行動の特徴」を聴いた(2014/3/20、明治大学リバティタワー)。
2014年2月19日に行われた東京都知事選は、舛添要一氏が、宇都宮健児・細川護熙の両氏を、それぞれほぼダブルスコアで下し、当選した。宇都宮票と細川票を足しても、舛添票にはまだ少し及ばなかった。この過程と結果は、何を意味するのか。
政治学で有名な「ライカー・モデル」という定式がある。有権者が投票行動を取るかどうかの指標であり、それは、自分の投票に意味があるのかという主観、候補者の差、投票の面倒くささ、投票への義務感といった変数で決まっていくとする。
今回、候補者の上位3人は、脱原発や防災の対策において有意な差がなく、争点とならなかった。メディアは舛添圧勝の予想を報道し、投票行動へのモチベーションとならなかったばかりか、「勝ち馬」に乗ろうとする有権者を増やした。選挙当日は大雪で寒く、さらに投票率を引き下げた。また、期日前投票が百万票を超え、なんと全投票数の2割以上にも達した。
すなわち、投票率は必然的に下がり、そのために、組織票が大きな力を発揮した。
西川さんは、過去の都知事選を分析し、さまざまな経験則や、それに基づく「勝利の方程式」を示している。これが非常に面白い。詳しくはここには書けないので、『アジア記者クラブ通信』に掲載される予定の講演録を一読されたい。(>> リンク)
●参照
○西川伸一講演会「政局を日本政治の特質から視る」
○佐々木信夫『都知事』
○斎藤貴男『東京を弄んだ男 「空疎な小皇帝」石原慎太郎』