大阪の心斎橋に「Ir Sunrise」という万年筆店がある。調べたところ、ちょうどサンライズ貿易のペンドクター・宍倉潔子さんがペンクリニックを行う日だというので、いそいそと訪ねた。宍倉さんは万年筆の雑誌などにもよく登場する方で、わたしも以前に他の万年筆を調整していただいたことがある。
手持ちの万年筆は2本。
ヴィスコンティの「ミッドナイト・ヴォイジャー」は、2002年・ローマでのNATO-ロシア理事会において署名に使われたものだそうで(もちろん、現物ではない)、大袈裟にいえば、冷戦の終わりを目撃した万年筆か。ペン先は18K、細字で、ちょっと書き出しが渋かった。どうも、ちょっとずれが生じていたらしかった。
パイロットの「カスタムヘリテイジ92」は、インクがたっぷり入る吸入式。透明軸ということもあって、鮮やかなターコイズを入れている。14Kの太字にも関わらず、これも結構インクの出が渋かった。
やっぱり快適に仕事をするための道具であるから、インクは潤沢に出てもらわないと困るのだ。両方とも、見事な手つきで、治具や紙やすりを使って調整していただいた。よかった。
●参照
○万年筆のペンクリニック
○万年筆のペンクリニック(2)
○万年筆のペンクリニック(3)
○万年筆のペンクリニック(4)
○行定勲『クローズド・ノート』(万年筆映画)
○鉄ペン
○沖縄の渡口万年筆店
○佐藤紙店の釧路オリジナルインク「夜霧」
○本八幡のぷんぷく堂と昭和の万年筆