1997年頃のジャズフェスでテレンス・ブランチャードにそれなりに感心した記憶があるが、感心はそれなりゆえ、まったく興味の対象外だった。ところが、先日飛行機のなかでたまたま聴いた『Magnetic』(Blue Note、2013年)がカッチョ良く、何時間もリピートしてしまった。
Terence Blanchard (tp)
Brice Winston (ts)
Ravi Coltrane (ts)
Lionel Loueke (g)
Fabian Almazan (p)
Ron Carter (b)
Joshua Crumbly (b)
Kendrick Scott (ds)
そんなわけで、改めてCDを入手して聴いている。やはりピカピカに鮮やかで、スピーディーで、ギミックもあって、なかなか痛快な作品だと思ったのだった。普段はさほど趣味でもないのだが、こういうものが正統としてみなされるのかな(もちろん皮肉ではなく)。
特に鮮やかなプレイを示してくれるのが、ブランチャードのストレートなトランペットの他に、ファビアン・アルマザンのピアノとケンドリック・スコットのドラムス。もっとも、この音楽の中では、イカリ肩のプレイは際立つようにできている。
逆にサックスのふたりがぱっとしない。ジョン・コルトレーンの息子ラヴィは、ずいぶん前に山下洋輔トリオのゲストとして吹いていたのを観たとき、名曲「キアズマ」のテーマを吹き切ることができず、がっかりした。その気持ちをまだ引きずっている。良い演奏があれば聴いて払拭したいところ。