Sightsong

自縄自縛日記

815展でのパフォーマンス(矢部優子、広瀬淳二、池田陽子、渡辺隆雄、遠藤昭)@好文画廊

2019-08-18 14:47:57 | アヴァンギャルド・ジャズ

浜町の好文画廊(2019/8/17)。毎年この時期に反戦をテーマとした「815展」をやり、あわせて演奏もやっているとのこと。矢部優子さんにお誘いいただくまで知らなかった。しかも謎な豪華メンバー。

Yuko Yabe 矢部優子 (melodica)
Junji Hirose 広瀬淳二 (b)
Yoko Ikeda 池田陽子 (viola)
Takao Watanabe 渡辺隆雄 (tp)
Akira Endo 遠藤昭 (reading)

今回のテーマは「ボレロ」であったようで、仕切る美術家の遠藤さんがミュージシャンにそれぞれその旨を記した手紙を出していた。ところが手書きでひとつひとつ内容が微妙に異なっていたようで、始まるまでみんな困惑していた。

手紙には広瀬さんがテナーを吹くよう書かれていたが、リズム楽器がないという理由で、広瀬さんはベースのみを持ってきていた。その広瀬さんも矢部さんもYouTubeで「ボレロ」を予習しながら来たらしい。池田さんも渡辺さんも困った顔をしながらも自分はこれでいくんだという腹案があるようにみえた。遠藤さんはそのへんは適当にと話している。

始まると、それぞれが柔らかく活動をはじめ、柔らかく共鳴した。遠藤さんは戦時の女学生についての詩を朗読しているようだったが、あまり聴こえなかった。それが女学生の苦しさを表現しているからいいのだと、後で誰かが話した。

全員愉しそうに見えた。たぶんそういう人たちである。こちらも十分面白かった。これこそ反戦の精神。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●矢部優子
謝明諺+秋山徹次+池田陽子+矢部優子@Ftarri(2019年)
大墻敦『春画と日本人』(2018年)

●池田陽子
Hubble Deep Fields@Ftarri(2019年)
謝明諺+秋山徹次+池田陽子+矢部優子@Ftarri(2019年)
アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian(2019年)
エレクトロニクスとヴィオラ、ピアノの夕べ@Ftarri(2019年)
鈴木ちほ+池田陽子(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2019年)
大墻敦『春画と日本人』(2018年)
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri(2018年)
森重靖宗+池田陽子+増渕顕史『shade』(2018年)
佐伯美波+池田若菜+池田陽子+杉本拓+ステファン・テュット+マンフレッド・ヴェルダー『Sextet』(2017年)
クリスチャン・コビ+池田若菜+杉本拓+池田陽子『ATTA!』(2017年)

●広瀬淳二
広瀬淳二+さがゆき@なってるハウス(2019年)
クレイグ・ペデルセン+中村としまる、エリザベス・ミラー+広瀬淳二@Ftarri(2018年)
広瀬淳二『No-Instrument Air Noise』(2017年)
ブライアン・アレン+広瀬淳二+ダレン・ムーア@Ftarri(2018年)
ロジャー・ターナー+広瀬淳二+内橋和久@公園通りクラシックス(2017年)
クリス・ピッツィオコス+吉田達也+広瀬淳二+JOJO広重+スガダイロー@秋葉原GOODMAN(2017年)
広瀬淳二+今井和雄@なってるハウス(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
広瀬淳二『SSI-5』(2014年)
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)

●渡辺隆雄
渡辺隆雄+早川岳晴『Hums For Midnight Amble』(2018年)
藤井郷子オーケストラ東京@新宿ピットイン(2018年)
オルケスタ・リブレ@神保町試聴室(2017年)
早川岳晴『kowloon』(2002年)


泉川貴広@御茶ノ水NARU

2019-08-18 14:37:11 | アヴァンギャルド・ジャズ

御茶ノ水のNARU(2019/8/16)。

Takahiro Izumikawa 泉川貴広 (p)

多彩な活動をしているピアニストだがこれまで聴いたことがなかった。

この日はセカンドセットまで観て(NARUは珍しい3セット制)、しかもピアノの真横席だということもあり、よく響いて迫力のある演奏を楽しむことができた。「Days of Wines and Roses」や「Everytime We Say Goodbye」などのスタンダードの他に、ジョージ・コールマンの「Amsterdam After Dark」やジョー・ヘンダーソンの「Inner Urge」も演った。正面を衒いなく進むどジャズも大好き。


さがゆき+高田ひろ子@中野Sweet Rain

2019-08-16 07:25:26 | アヴァンギャルド・ジャズ

中野のSweet Rain(2019/8/15)。

Yuki Saga さがゆき (vo)
Hiroko Takada 高田ひろ子 (p)

しっとりと「水とワイン」から入った。「黒いオルフェ」では、循環し、ヴォイスに応じて再スタートするピアノ。「All The Things You Are」で、ヴォイスがエッジの丸い弾のように放たれ、それが小刻みになってゆく。高田さんも十分な強さでそれを受けとめ、とても嬉しそうにみえる。

ここでなんと、ユーミンの「Hello, My Friend」。「淋しくて/淋しくて/君のこと想うよ」における深い水の底を覗き込むごときヴォイス、そのときに感情を爆発させるピアノがとても良い。「Sometime Ago」ではなんどもライヴを重ねているデュオだということを感じさせられる、並んで歩く感覚。「September」ではさがさんの口笛が天井に自由の通気口を開ける。

セカンドセットは讃美歌の「きみがすきだって」から始められ、「Blue Sky」では、ピアノにより光が散りばめられた雲を伸びる声が突き抜ける。

ブロッサム・ディアリーの「Try Your Wings」、「A first love never comes twice」なんていろいろな感情が迫ってくる。なつかしさを噛みしめて弾いていたピアノは、「Try your wings」のところでやさしく誰かの背中に手を置くようである。「Estate」ではピアノのイントロにさがさんが譜面をばさばさと波打たせて夏を持ち込み、ジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」において高田さんが感情を包み込むようにピアノを弾く。そして、イヴァン・リンスの「Velas Icadas」を経て、この日だということもあってか、ジョアン・ドナートの「平和」でまたしっとりと終わった。

このデュオを聴くのは二度目だがやはりぐっとくる。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●さがゆき
広瀬淳二+さがゆき@なってるハウス(2019年)
さがゆき+高田ひろ子@川崎ぴあにしも(2018年)
さがゆき+アニル・エラスラン『Shadows』(2018年)
ファドも計画@in F
(2018年)

●高田ひろ子
さがゆき+高田ひろ子@川崎ぴあにしも(2019年)
高田ひろ子+安ヵ川大樹@川崎ぴあにしも(2018年)
有明のぶ子+高田ひろ子+桜井郁雄@本八幡cooljojo(2018年)
高田ひろ子+廣木光一@本八幡cooljojo(2017年)
安ヵ川大樹+高田ひろ子@本八幡Cooljojo(2016年)
高田ひろ子+津村和彦『Blue in Green』(2008年)


森口豁『紙ハブと呼ばれた男 沖縄言論人・池宮城秀意の反骨』

2019-08-15 08:05:29 | 沖縄

森口豁『紙ハブと呼ばれた男 沖縄言論人・池宮城秀意の反骨』(彩流社、1995/2019年)を読む。

沖縄には「紙ハブ」と呼ぶ慣わしがあった。新聞で噛みつく人という意味である。そして本書初版時の題名は『ヤマト嫌い』であった。すなわち、池宮城秀意という人は、明治から戦前までの抑圧された沖縄、捨て石にされた沖縄戦での沖縄、施政権返還の前も後も米軍基地を押し付けられる沖縄に生き、ヤマト(日本)の醜さを見出し続けた言論人なのだった。

ジャーナリストがジャーナリストを対象とする書物はさほど多くはないだろう。しかしそれだけに、池宮城の功績も、弱く汚い部分も、隠すところなく描いている。本書を読む者は森口豁というふたりの眼をもって沖縄を視ることになる。(いや、さらに高校時代から豁さんと付き合いのあった金城哲夫の眼もある。)

今回わたしにとって発見がふたつあった。

ひとつは、戦前、「アカ狩り」と並行して「ユタ狩り」も行われていたことだ。ユタたちは、天皇制に支えられた国家主義的な精神統制に対して批判的であった。もとよりユタも琉球王国において聞得大君を頂点とする宗教的・精神的ネットワークの中に位置付けられる存在なのだと思うが、国家との関連であっても、ユタは民間信仰に支えられていたということである。

もうひとつは、「琉球新報」がアメリカ・日本の影響のもとかなり保守的だった時代もあったのだということだ。池宮城はいちどはそのために追放され、戻って社長になってから「沖縄タイムス」との統合話を進めている(頓挫)。また大学を中退し沖縄に渡った豁さんをあたたかく受け入れてもいる。この人がいなければ、沖縄をめぐるジャーナリズムもまた違う形になっていたのかもしれない。

●森口豁
『アメリカ世の記憶』(2010年)
『最後の学徒兵』(1993年)
『沖縄 こころの軌跡 1958~1987』
『ひめゆり戦史』、『空白の戦史』(1979、80年)
『毒ガスは去ったが』、『広場の戦争展・ある「在日沖縄人」の痛恨行脚』(1971、79年)
『沖縄の十八歳』、『一幕一場・沖縄人類館』、『戦世の六月・「沖縄の十八歳」は今』 (1966、78、83年)
『乾いた沖縄』(1963年)


鈴木ちほ+北田学@バーバー富士

2019-08-13 20:54:56 | アヴァンギャルド・ジャズ

上尾市のバーバー富士(2019/8/12)。

Chiho Suzuki 鈴木ちほ (bandoneon)
Manabu "Gaku" Kitada 北田学 (bcl, cl)

鈴木ちほさんは「気負い」を演奏前から口にしていた。というのも、バーバー富士という場所の重さのこともあるし、なにより齋藤徹さんの存在があった。はじめにバーバー富士の松本さんからオファーがあったのは今年5月27日の回。その30分後にテツさんからかみむら泰一さんとのデュオで演奏したいとの連絡があり、身体のことを考慮してテツさんの回が先になった。しかし、テツさんは5月18日に急逝した。ライヴはかみむらさんと今井和雄さんとのデュオとなった。テツさんとの縁が深かったちほさんは何より「気負う」こととなった。

また、後で北田学さんが言ったところによれば、学さんはテツさんと共演はしなかったものの、音楽活動が低調な時期に強い印象に残る接点があり、即興演奏というものを問う契機にもなっていたのだという。

そのような人間の物語が音楽に結びつくのか?そうだ、という人も、視野の外に置くべきだ、という人もいるだろう。(音楽って何?わたしなどにはわかりません。)

それがどうであれ、この日の音楽は、各々の音のエッセンスが衒いや「気負い」のない形で出されたとわたしには聴こえた。このふたりは共演を積み重ねており、その蓄積をもとにしていた。従って、互いを知らぬことによる自分自身のフィールドの整地という過程はなかった。

最初はバスクラのロングトーンから始まり、やがて、バンドネオンとの間で指と指とを交差させるように音が形成されてきた。バンドネオンの蛇腹の空気音はとても効果的であり、その風とバスクラを吹く息とがシンクロした。また蛇腹の動きに呼応してバスクラが入るなど、即興演奏ながらはじめからすでに呼吸が合っていた。学さんのバスクラは大きな流れと小さな指使いとが組み合わさってうねりを作った。またときに粘ってブロウを手放さないように吹き続ける瞬間などはトロンボーンのスティーヴ・スウェルを思わせた。

2曲目はクラとバンドネオンとで、小気味よいリズムで不協和が不穏でも愉しくもあるサウンドを作った。クラはときおり秘密話を打ち明けるようで、バンドネオンが物語の背景にまわった。

3曲目はバンドネオンが和音を階段関数的に変化させてゆき、同時に音の震えが和紙を透かし見るグラデーションを思わせた。大きな流れと小さな流れとを共存させるあり方は、学さんのバスクラにも通じるものに思えた(この曲ではクラを吹いた)。確信犯的に時間がゆっくりと流れ、ふたりが並走した。

4曲目はバスクラが声を入れて咆哮し、その暴れに対し、バンドネオンが長い気をもってサウンドをこってりと厚塗りした。ただしバスクラのタッピングもまたその動きによる塗りのようなものに聴こえた。ふたりの塗りはゆったりとしてゆき、やがて絵具が擦れて収束した。

セカンドセットの1曲目はバンドネオン、バスクラともに事件だ事件だと喧伝するように思えた。やがてバスクラが跳躍を開始し、バンドネオンも隣で跳躍した。つまりこれは愉しい縄跳び、縄跳び。ここでのバスクラはやさしいタッピングにより、木管ならではの柔らかさをとても発揮した。そしてバスクラはまた事件の語り部となった。

2曲目は夜にどこからともなく聴こえてくる音。クラもバンドネオンも虫の声。クラが循環呼吸で長く粘り続けると、バンドネオンはまるで歴史であるかのように背景を形成した。

3曲目はバンドネオンが長く長く音をつなげ、その間に急変を重ねるバスクラ。同じ話を別々の人が語るような按配だった。

4曲目は文字通り息のようなバンドネオン、呼応するバスクラは深呼吸のごときだが、次第に音を発してゆき、ここにきてみごとな重音を出した。ふたりの音が感動的なほどに和音となって重なった。テツさんへの鎮魂歌に聴こえた。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●北田学
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
audace@渋谷Bar Subterraneans(2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(JazzTokyo)(2019年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+北田学@渋谷Bar subterraneans(2019年)
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(2017年)

●鈴木ちほ
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(JazzTokyo)(2019年)
アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian(2019年)
鈴木ちほ+池田陽子(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2019年)
種まき種まかせ 第3回ー冬の手ー@OTOOTO(2019年)
種まき種まかせ 第2回ー秋の手-@Ftarri(2018年)
impro cats・acoustic@なってるハウス(2018年)
鈴木ちほ+荻野やすよし(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2018年)
鳥の未来のための螺旋の試み@ひかりのうま(2017年)
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(2017年)
りら@七針(2017年)
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年) 


ファビアン・アルマザン『This Land Abounds With Life』

2019-08-12 15:16:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

ファビアン・アルマザン『This Land Abounds With Life』Biophilia Records、2018-19年)を聴く。

Fabian Almazan (p, perc, electronics)
Linda May Han Oh (b)
Henry Cole (ds)
+ (track 8)
Megan Gould & Monica Davis (vln)
Karen Waltuch (viola)
Eleanor Norton (cello)

ファビアン・アルマザンはどのへんが凄いのかいまひとつ腑に落ちないのだが、このような解像度が高く現代的なピアノトリオは悪くないなと思う。

●ファビアン・アルマザン
マリア・グランド『Magdalena』(2018年)
アダム・ラーション@Smalls
(2015年)
ジャスティン・ブラウン『NYEUSI』(2015年)
ジム・スナイデロ『Main Street』(2014年)
テレンス・ブランチャード『Magnetic』(2013年)


大村亘トリオ@新宿ピットイン

2019-08-12 12:02:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットインで大村亘トリオ(2019/8/11)。

Ko Omura 大村亘 (ds, tabla)
Jun Furuya 古谷淳 (p)
Yutaka Yoshida 吉田豊 (b)

大村さんのドラムスは少なからず鮮烈だった。叩き方は決して一様にならず(一様を続けるカタルシスだってあるわけだ)、次々になで斬りをしていくような鋭さがある。南斗水鳥拳のレイみたいだ。シンバルの響きに次の響きを重ねる音なんて素晴らしい。タブラにも惹かれた(もっとアンプを効かせてほしかったけれど)。

古谷さんのピアノはまるで濁らず、ためらいのない鮮やかなフレーズがいちいち嬉しい。ダンディにベースを刻んでいく吉田さんも含め、このトリオをまた聴きたいと思った。

●吉田豊
村上寛@池袋Independence(2018年)
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)


障子の穴 vol.2@ZIMAGINE

2019-08-12 11:19:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

南青山のZIMAGINE(2019/8/11)。はじめて来た。

Midori Kurata 蔵田みどり (vo)
Kosetsu Imanishi 今西紅雪 (箏)
Masami Sakaide 坂出雅海 (b, ipad)
guest:
Kazuto Shimizu 清水一登 (p, key)

ファーストセットはいろいろな組み合わせのデュオ、セカンドセットは全員。

4人のうち半分がヒカシューという面白さがあって、坂出さん、清水さんのプレイはエンターテイナーとして最高。蔵田さんのヴォーカルははじめて聴いたけれど、コミカルに攻めまくったり、エフェクトによって別宇宙の住人になったり、波動で鼓膜をびりびり震わせたりと、振れ幅が大きくて驚いた。紅雪さんはグリッサンドでサウンドのあちこちに色を付けてゆく(ときどき下を向いて笑い、ひとりでこっそり愉しんでいるようにみえた)。

なかなか思いもよらない世界でとても面白かった。

ところで、清水さんのオリジナル「エチオピア」は、同国の95歳のピアニスト、エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルー(Emahoy Tsegue Maryam Guebrou)や、サックス奏者ゲタチュー・メクリヤ(Getachew Mekurya)にインスパイアされたもののようで、興味津々。

●今西紅雪
今西紅雪「SOUND QUEST 2019 〜谺スル家〜」@千住仲町の家(2019年)
タリバム!+今西紅雪@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2019年)
ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018(JazzTokyo)(2018年)

●清水一登、坂出雅海
クリス・ピッツィオコス+ヒカシュー+沖至@JAZZ ARTせんがわ(JazzTokyo)(2017年)
ヒカシュー@Star Pine's Cafe(2017年)


マーティン・エスカランテ+小埜涼子『Duo』

2019-08-11 12:48:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

マーティン・エスカランテ+小埜涼子『Duo』(2019年)を聴く。

Martín Escalante (as)
Ryoko Ono 小埜涼子 (as)

先のノア・ソウザとのデュオとは大きく異なり、相方は小埜涼子さんである。

確かに小埜さんも奇妙でフリーキーな音を出すものの、アルトのキー操作によってフレーズを繰り出してゆく。というか、それがアルトを吹くということである。一方のエスカランテは操作やフレージングよりも、破綻しようがしまいが吹き続けることに最大のアイデンティティを持っているようにみえる。その結果ポルタメントにも聴こえるぐちゃぐちゃの奔流が生まれている。

なにものにも負けないようにみえる強度をもったふたりが、まるで違うくせに、平然と共存してみせている。そのことがとても感動的。

●マーティン・エスカランテ
マーティン・エスカランテ+沼田順+石原雄治@なってるハウス(2019年)
マーティン・エスカランテ、川島誠、UH@千駄木Bar Isshee(2019年)
マーティン・エスカランテ+ノア・ソウザ『The Sprawl』(-2019年)
マーティン・エスカランテ+ウィーゼル・ウォルター『Lacerate』(2018年)
シシー・スペイセク『Spirant』(2016年)

●小埜涼子
mn+小埜涼子@七針(2019年)
林栄一+小埜涼子『Beyond the Dual 2』(2014-15年)


マーティン・エスカランテ+ノア・ソウザ『The Sprawl』

2019-08-11 10:32:13 | アヴァンギャルド・ジャズ

マーティン・エスカランテ+ノア・ソウザ『The Sprawl』(Potentially Kinetic Records、-2019年)。

Martín Escalante (as)
Noah Souza (as)

まだマーティン・エスカランテの衝撃の来日から2か月くらいしか経っていないのだが、嵐のようなものだったせいか随分前のことに感じる。このCD-Rはその前に台湾のマニアであるJan-wen Luさんに見せてもらっていて、ぜひ本人から買おうと決めていた。そして確認した限りでもまったく異なる手塗りのジャケットは5種類。作ったのは相方のノア・ソウザ(南米だから送料が高かった、とJan-wenさんの弁)であり、たぶん数十種類はあるのだろう。変な人だなあ。

それで、嵐のあとにときどき聴くのだが、ともかくも何があろうとも渾身の力で吹き続けるマーティン・エスカランテの音の洪水に耳を晒していると、奇妙な勇気が生まれてくる。おそらくソウザもかれと一緒に踊り続けるのだからよほどのものだ。即興とは自分自身を出すことだ、という観点でみればエクストリームに正義。

●マーティン・エスカランテ
マーティン・エスカランテ+沼田順+石原雄治@なってるハウス(2019年)
マーティン・エスカランテ、川島誠、UH@千駄木Bar Isshee(2019年)
マーティン・エスカランテ+ウィーゼル・ウォルター『Lacerate』(2018年)
シシー・スペイセク『Spirant』(2016年)


早川岳晴『kowloon』

2019-08-11 08:32:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

早川岳晴の新しいソロ作品が出るらしい。そんなわけで『kowloon』(studio wee、2002年)を聴いている。

Takeharu Hayakawa 早川岳晴 (b, saz, darbuka, rhythm programming, kalimba)
Takao Watanabe 渡辺隆雄 (tp)
Tatsuya Yoshida 吉田達也 (ds)
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)
Nobuo Fujii 藤井信雄 (ds)
Keiki Midorikawa 翠川敬基 (cello)
Mari Sekine 関根真理 (ds, perc)

このあくの強い面々とのソロ、デュオ、トリオ。各氏ためらうことなく一気に自分を出しているようで実に痛快だ。

早川氏のベースはリーダーだけあってアルバム全体を覆っていて、とても粘っこく、常に次のダッシュに向かっている感覚がある。それはオマケのCD-Rに収録された演奏(早川、渡辺、吉田)においてより過激で、三者とも眼をかっ開いて5分後のゴールに向かって爆走。

●早川岳晴
渡辺隆雄+早川岳晴『Hums For Midnight Amble』(2018年)
生活向上委員会大管弦楽団『This Is Music Is This?』(1979年)


シワブキ@なってるハウス

2019-08-10 13:16:11 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2019/8/9)。

Koichi Yamaguchi 山口コーイチ (p)
Jun Isobe 磯部潤 (ds)
Ippei Kato 加藤一平 (g)

この「ハードコア即興バンド」はいきなり骨の横の肉のように旨いところに突入し、最後まで続く。曲であればシームレスな山口コーイチ節がまろび出てくると来た来たと喜ぶところ、それがずっと聴けるわけである。ばしんばしんと活力を与えるドラムスも七色のギターも最高。そんな感じなので聴いていると少し朦朧としてくる。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●山口コーイチ
渋さチビズ@なってるハウス(2019年)
ヴァネッサ・ブレイ+山口コーイチ@サラヴァ東京(2018年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2017年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
AAS@なってるハウス(2016年)
山口コーイチ『愛しあうことだけはやめられない』(2009-10年)

●磯部潤
渋さチビズ@なってるハウス(2019年)
AAS@なってるハウス(2016年)

●加藤一平
騒乱武士『秋田・鎌鼬の里ライブ』(2019年)
鳴らした場合、20 Guilders@高円寺円盤(2018年)
波多江崇行+加藤一平@なってるハウス(2018年)
永武幹子+加藤一平+瀬尾高志+林ライガ@セロニアス(2018年)
竹内直+加藤一平@セロニアス(2017年)
鈴木勲セッション@新宿ピットイン(2014年)


フローリアン・ヴァルター+石川高+山崎阿弥@Bar subterraneans(JazzTokyo)

2019-08-08 23:59:36 | アヴァンギャルド・ジャズ

JazzTokyo誌に、Bar subterraneansにおけるフローリアン・ヴァルター、石川高、山崎阿弥の共演(2019/7/26)のレビューを寄稿した。

>> #1090 フローリアン・ヴァルター+石川高+山崎阿弥

(photo by m.yoshihisa)

Florian Walter (as)
石川高 Ko Ishikawa (笙)
山崎阿弥 Ami Yamasaki (vo)

●山崎阿弥
山崎阿弥+ネッド・ローゼンバーグ@千駄木Bar Isshee(2019年)
ローレン・ニュートン、ハイリ・ケンツィヒ、山崎阿弥、坂本弘道、花柳輔礼乃、ヒグマ春夫(JAZZ ART せんがわ2018、バーバー富士)(JazzTokyo)(2018年)
石原雄治+山崎阿弥@Bar Isshee(2018年)
岩川光+山崎阿弥@アートスペース.kiten(2018年)

●石川高
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018(JazzTokyo)(2018年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
エヴァン・パーカー@スーパーデラックス(2016年)
一噌幸弘『幽玄実行』『物狂 モノグルイ』(JazzTokyo)(2011年)

●フローリアン・ヴァルター
フローリアン・ヴァルター+照内央晴@なってるハウス(2019年)
喜多直毅+元井美智子+フローリアン・ヴァルター@松本弦楽器(2019年)
『ボンの劇場の夜―ダンスカンパニー・ボー・コンプレックスとゲスト』@ボンSchauspiel(フローリアン・ヴァルター)(2019年)
Ten meeting vol.2@阿佐ヶ谷天(フローリアン・ヴァルター)(2018年)
フローリアン・ヴァルター+直江実樹+橋本孝之+川島誠@東北沢OTOOTO(2018年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴+方波見智子+加藤綾子+田中奈美@なってるハウス(2017年)
フローリアン・ヴァルター『Bruit / Botanik』(2016年)
アキム・ツェペツァウアー+フローリアン・ヴァルター『Hell // Bruit』(2015年)


特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)

2019-08-08 23:50:21 | アヴァンギャルド・ジャズ

町田市の和光大学における特殊音樂祭(2019/7/13)。JazzTokyo誌に寄稿した。

>> #1084 特殊音樂祭

坂田明 Akira Sakata (as)
巻上公一 Koichi Makigami (vo, theremin, tp, 尺八)
中川俊郎 Toshiro Nakagawa (p)
直江実樹 Miki Naoe (radio)
照内央晴 Hisaharu Teruuchi (p)
久保田晶子 Akiko Kubota (琵琶)
亀井庸州 Yoshu Kamei (vln, 尺八)
松本ちはや Chihaya Matsumoto (perc)
伊藤千枝子 Chieko Ito (dance)

●坂田明
Arashi@稲毛Candy(2019年)
ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018(JazzTokyo)
JAZZ ARTせんがわ2018
サイモン・ナバトフ@新宿ピットイン(2017年)
『浅川マキを観る vol.3』@国分寺giee(2017年)
坂田明+今井和雄+瀬尾高志@Bar Isshee(2016年)
ジョー・モリス@スーパーデラックス(2015年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
見上げてごらん夜の星を(坂田明『ひまわり』、2006年)
浅川マキ『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏家たちのOKをもらった』(1980年)
浅川マキ『Maki Asakawa』(主に1970年代)

●巻上公一
詩×音楽(JAZZ ART せんがわ2018)(JazzTokyo)(2018年)
クリス・ピッツィオコス+ヒカシュー+沖至@JAZZ ARTせんがわ(JazzTokyo)(2017年)
ヒカシュー@Star Pine's Cafe(2017年)

●直江実樹
合わせ鏡一枚 with 直江実樹@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2019年)
フローリアン・ヴァルター+直江実樹+橋本孝之+川島誠@東北沢OTOOTO
(2018年)

●照内央晴
フローリアン・ヴァルター+照内央晴@なってるハウス(2019年)
豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)
豊住芳三郎+老丹+照内央晴@アケタの店(2019年)
豊住芳三郎+謝明諺@Candy(2019年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2019年)
吉久昌樹+照内央晴@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2019年)
照内央晴、荻野やすよし、吉久昌樹、小沢あき@なってるハウス(2019年)
照内央晴+方波見智子@なってるハウス(2019年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+吉本裕美子+照内央晴@高円寺グッドマン(2018年)
照内央晴+川島誠@山猫軒(2018年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2018年)
『終わりなき歌 石内矢巳 花詩集III』@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2018年)
Cool Meeting vol.1@cooljojo(2018年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴+方波見智子+加藤綾子+田中奈美@なってるハウス(2017年)
ネッド・マックガウエン即興セッション@神保町試聴室(2017年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)
照内央晴「九月に~即興演奏とダンスの夜 茶会記篇」@喫茶茶会記(JazzTokyo)(2016年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)

●松本ちはや
謝明諺+レオナ+松本ちはや@Bar subterraneans(JazzTokyo)(2019年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)


喜多直毅+西嶋徹『L’Esprit de l’Enka』(JazzTokyo)

2019-08-08 23:44:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

JazzTokyo誌に、喜多直毅+西嶋徹『L’Esprit de l’Enka』(UNAMAS Label、-2019年)のレビューを寄稿した。

>> #1624 『喜多直毅+西嶋徹 / L’Esprit de l’Enka』

Naoki Kita 喜多直毅 (gut strings vln)
Toru Nishijima 西嶋徹 (b)

●喜多直毅
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
喜多直毅+元井美智子+フローリアン・ヴァルター@松本弦楽器(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
喜多直毅+翠川敬基+角正之@アトリエ第Q藝術(2019年)
熊谷博子『作兵衛さんと日本を掘る』(2018年)
喜多直毅クアルテット「文豪」@公園通りクラシックス(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(2018年)
ファドも計画@in F(2018年)
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)
黒田京子+喜多直毅@中野Sweet Rain(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
喜多直毅クアルテット@求道会館(2017年)
ハインツ・ガイザー+ゲリーノ・マッツォーラ+喜多直毅@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
喜多直毅クアルテット@幡ヶ谷アスピアホール(JazzTokyo)(2017年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)
喜多直毅+田中信正『Contigo en La Distancia』(2016年)
喜多直毅 Violin Monologue @代々木・松本弦楽器(2016年)
喜多直毅+黒田京子@雑司が谷エル・チョクロ(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年)http://www.jazztokyo.com/best_cd_2015a/best_live_2015_local_06.html(「JazzTokyo」での2015年ベスト)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(2014年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
寺田町の映像『風が吹いてて光があって』(2011-12年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年) 

●西嶋徹
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)