サブタイトルは「原子力の現場を行く」。筆者および筆者に縁の専門家3人がアジア8カ国(中国、インド、パキスタン、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア)の原子力機関および発電所を訪問し、高官や専門家と会話した内容をまとめた一冊。締め括りは青森県六ヶ所村だ。
狙いは面白い。そして1冊の本にアジアの国々の様子が纏められているのはとても興味深い。もちろん取材の許される範囲に「温度差」があるので、同じレベルの質問、同じ対象物の写真というような「純粋な比較」はできないが…
今回取材した国々で受ける印象に比べ日本は原子力に対して遥かにナーバスで、「無用の」心配をしすぎているように見えるという著者の感想は鋭い。決して推進派でない人にもそのように映るのか。被爆の歴史、心配性な国民性を思えば無理からぬこと。
かように面白い感想もあるが、全編を通じ著者の態度が気になる。もちろん実際には色々と下調べをし、他のメンバーと打合せもして現地に臨んでいるのだろうが、作品からはそうした様子はあまり窺えない。恐らくは専門家に混じっての訪問なので生半可な知識は意図的に隠し、「素人のおばさん」に徹したのであろう。ならば自賛するような「迫った」「切り込んだ」といった表現は避けるべきではないか。なんかカンに障るんだよね。
2008年8月20日 自宅にて読了
狙いは面白い。そして1冊の本にアジアの国々の様子が纏められているのはとても興味深い。もちろん取材の許される範囲に「温度差」があるので、同じレベルの質問、同じ対象物の写真というような「純粋な比較」はできないが…
今回取材した国々で受ける印象に比べ日本は原子力に対して遥かにナーバスで、「無用の」心配をしすぎているように見えるという著者の感想は鋭い。決して推進派でない人にもそのように映るのか。被爆の歴史、心配性な国民性を思えば無理からぬこと。
かように面白い感想もあるが、全編を通じ著者の態度が気になる。もちろん実際には色々と下調べをし、他のメンバーと打合せもして現地に臨んでいるのだろうが、作品からはそうした様子はあまり窺えない。恐らくは専門家に混じっての訪問なので生半可な知識は意図的に隠し、「素人のおばさん」に徹したのであろう。ならば自賛するような「迫った」「切り込んだ」といった表現は避けるべきではないか。なんかカンに障るんだよね。
2008年8月20日 自宅にて読了