日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
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【本】稲垣足穂著 「ヒコーキ野郎たち」(河出文庫)

2014-05-28 07:01:41 | 本・映画・展覧会
 驚くなかれ、タルホであるよ、いまごろ、いまさら。いや、まともに読んだことなかったかもしれない(代表作の「一千一秒物語」くらい読んでみようか?)。なんか遥か昔の、文壇でも正統派とは言えなそうな人の作品を読む気になったのは、つい最近知ったことだが彼は飛行機狂だったということで、それにまつわる話を纏めた文庫本が刊行されていると知り、なんと図書館蔵書になかったので私財をはたいて(1円…)購入した次第。ヨタ話が長いですねぇ毎度。

 物語は著者の少年青年時代の、第一次世界大戦前後の日本航空界のお話。機体は自作の複葉、エンジンは輸入品。ちょっと山師的な飛行機乗りの姿が克明に描かれ、特に最終編は(考証の必要はあるが)史書として使えそうな。

 いっぽう純粋に空への憧れを綴った前半部、博物館で見たことある機体やエンジンの名前が色々と出てくる。そしてあまたのパイロットの名前も。この新しい乗り物にいかに多くの人々が心奪われ野心を燃やし関ったか、その一端が垣間見えるがそれより、著者の詩的な想像空想が、何だか純粋すぎて僅かに知っている後年の巨人タルホと乖離しているのだった。

 日本で飛行機に関してしっかり書かれた読み物としては最初期的なものではないかと思うが、当時の雰囲気を味わうことができた。

 2014年5月16日 通勤電車車中にて読了
コメント
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