シリア難民が大挙して押し寄せた欧州で様々な問題が起こり、特にドイツ・ケルンでは2015年の大晦日にアラブ系難民が中心と思われるドイツ人女性への略奪・暴行・強姦が行われたとして大問題になっている。難民とは本当に手を差し伸べるべき人々なのか?難民に対する人道支援について書かれた本書は最近の著作ではないが、考えながら読んでみた。
人道支援とは何か。政治的立場や宗教的立場を超え、人間として窮地にある人間に支援の手を差し伸べること、というのが大原則。なので、人道支援する団体は政治的に中立でなければ活動できない。原則として武力を持ってはならない…と、歴史的経緯や時には苦い教訓を踏まえながら培われてきた人道支援の原則についての解説は、NGOやNPO志願者の導入教育に最適と思われるほど平易。サブタイトルで「ボランティアの心得」と謳っているがそれは現場への持ち物指南ではなく、国際ボランティアを行う場合の大原則について解り易く書かれている。徒手空拳、勢いで参加というのは格好良いが本書の内容を十分理解しておけば、現場での行動指針にもなるのではないだろうか。
だが世の中すべて理念通りには運ばない。「人道」「公平」「独立」「中立」という、人道支援の4原則と言うのが定義されているそうだ。なるほどと思う。だがそれではうまくできないケースもあるのでは?と瞬時に思ったがやはりそうで、ジレンマがあると隠さず書かれている。「中立」が理解されず活動できない地域もあるという。何で解らないんだと思う一方で、そこまで他人に対する不信感を持つほど追い詰められてきた人々なのだと気の毒にも思う。理由はどうあれ、それで犠牲になるのは非戦闘員の一般市民なのはどこの紛争地域でも同じ。
そもそも人道支援は「対症療法」であり、本当は被支援者を生む要因を排除することが望ましい。だが現在の難民の多くは被支援国内の政治的対立により生まれるケースが多く、そこを修正しようとすると「政治的に中立」という原則から外れてしまう。現在以上の活動をしようとすると、内政干渉と言われる可能性は大きい。平易な説明で実務の難しさを理解できた。
2016年2月9日 通勤電車にて読了
人道支援とは何か。政治的立場や宗教的立場を超え、人間として窮地にある人間に支援の手を差し伸べること、というのが大原則。なので、人道支援する団体は政治的に中立でなければ活動できない。原則として武力を持ってはならない…と、歴史的経緯や時には苦い教訓を踏まえながら培われてきた人道支援の原則についての解説は、NGOやNPO志願者の導入教育に最適と思われるほど平易。サブタイトルで「ボランティアの心得」と謳っているがそれは現場への持ち物指南ではなく、国際ボランティアを行う場合の大原則について解り易く書かれている。徒手空拳、勢いで参加というのは格好良いが本書の内容を十分理解しておけば、現場での行動指針にもなるのではないだろうか。
だが世の中すべて理念通りには運ばない。「人道」「公平」「独立」「中立」という、人道支援の4原則と言うのが定義されているそうだ。なるほどと思う。だがそれではうまくできないケースもあるのでは?と瞬時に思ったがやはりそうで、ジレンマがあると隠さず書かれている。「中立」が理解されず活動できない地域もあるという。何で解らないんだと思う一方で、そこまで他人に対する不信感を持つほど追い詰められてきた人々なのだと気の毒にも思う。理由はどうあれ、それで犠牲になるのは非戦闘員の一般市民なのはどこの紛争地域でも同じ。
そもそも人道支援は「対症療法」であり、本当は被支援者を生む要因を排除することが望ましい。だが現在の難民の多くは被支援国内の政治的対立により生まれるケースが多く、そこを修正しようとすると「政治的に中立」という原則から外れてしまう。現在以上の活動をしようとすると、内政干渉と言われる可能性は大きい。平易な説明で実務の難しさを理解できた。
2016年2月9日 通勤電車にて読了