昔の香港に関心のある人なら「クーロン城」という名前を聞いたことがあるのではないか。一世を風靡したパソコンゲーム「SIM CITY」を制作するヒントになったとも言われたビル群。「内部は無法地帯」「入ったら迷子になる」といた風説の絶えない魔窟。隙間なく詰まって建ったビル群を香港の旧空港(啓徳=Kai Tak)着陸間際の機内から見るたびに「キターッ!」とテンションが上がったものである。
本展はその九龍城に数年間通い撮影したモノクロ写真の展示、荒れた画面が怪しさを増幅する。中に入ってみれば飾り気なく本音で生きる人々の息遣いが感じられたそうだが、展示された写真はその構図や画質から、どちらかと言えばまがまがしい雰囲気の表現に重きを置いているように感じた。
古いパスポートを引っ張り出してみた。自分が初めて香港を訪れたのは1991年、5週間の出張だった。当然その頃は啓徳空港であり、九龍城が存在した。出張ということもあり、さすがに覗く気にはならなかった。以来四半世紀、数えてみたら合計でちょうど20回訪れているが、返す返すもあの空間に足を踏み入れなかったヘタレぶりを後悔する。通って数々のシーンをものにした作者は立派だ。
2016年6月28日 品川・キヤノンギャラリーSにて
本展はその九龍城に数年間通い撮影したモノクロ写真の展示、荒れた画面が怪しさを増幅する。中に入ってみれば飾り気なく本音で生きる人々の息遣いが感じられたそうだが、展示された写真はその構図や画質から、どちらかと言えばまがまがしい雰囲気の表現に重きを置いているように感じた。
古いパスポートを引っ張り出してみた。自分が初めて香港を訪れたのは1991年、5週間の出張だった。当然その頃は啓徳空港であり、九龍城が存在した。出張ということもあり、さすがに覗く気にはならなかった。以来四半世紀、数えてみたら合計でちょうど20回訪れているが、返す返すもあの空間に足を踏み入れなかったヘタレぶりを後悔する。通って数々のシーンをものにした作者は立派だ。
2016年6月28日 品川・キヤノンギャラリーSにて