日々のつれづれ(5代目)

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【本】佐野眞一著 「大往生の島」(文春文庫)

2020-04-20 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 民俗学者・宮本常一の崇拝者と言ってよい著者による、宮本常一の生まれ故郷の島の一集落のルポルタージュ。山口県の(周防)大島に橋で繋がる、沖家室(おきかむろ)島が舞台。

 本書が書かれた15年ほど昔の時点で、沖家室の住人の大半は高齢者だった。にも関らず医療費は極めて低く、住民の満足度は高い。その秘密はどこにあるのか、島の人々はどういう暮らしをしているのか。高齢者の多くはどう死んでゆくのか。島を出て行った人々との繋がりはどうなっているのか、等々。

 本書の大半を通じ、遊びや趣味でなく実生活面での遣り甲斐もしくは必要があること、近所づきあい(相互扶助)、正しい食生活(禁飽食過食)などの「秘訣」が見えてくる。ただし著者はこの島の生活を手放しで礼賛してはおらず、また最近の「個」を尊重する都市型住人との対比を行うことを忘れない。自分は明らかに後者に属するので、こちらの視点での文献も何か読んでみたいところ。

 ちょっと行き難い場所であるため行ったことのない周防大島だったが、本書を読んで俄然行きたくなった。宮本常一記念館と(戦艦)陸奥記念館がある。岩国空港から行くのが常道だがANAしか飛んでないんだよなあ…でもJALが飛んでる松山空港経由でレンタルバイクを借りてフェリーで行こうと調べたところ、営業時間やフェリーの接続がメチャクチャ悪い。島の細い道を走り回るのに、クルマじゃなくてバイクで行きたいんだけどな。じっくり考えて実行に移したい。

 2020年4月9日 自宅にて読了
コメント
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