日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
お気軽にコメント下さい。

【本】高野秀行著 「西南シルクロードは密林に消える」(講談社文庫)

2021-09-02 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 著者はバックパッカーではない、探検家だ。人跡未踏かどうかはともかく、常人とは異なる道を行くのが本分だ。本書はそれが遺憾なく発揮されており、他の著書に見られるバカバカしさはなく、ちょっと緊迫感すら漂う。

 そもそも「西南シルクロード」なる存在を、本書で初めて知った。ただし、そう名付けられた街道があるわけではなく、著者によれば村から村への細い交易路が綿々と連なり、それをひとまとめにそう呼ぶだけのことではないかと。鋭い。確かに、時の権力者が交易路として整備を命じたのでもない限り、そうした短区間の人の往来の集合体と考える方が正しそうだ。

 で、著者は、中国からミャンバーを経てインドへ至るとされているルートを現代に行こうとする。「正統」シルクロードと違って、こちらは既に廃道同然の区間が少なくない。おまけに、ゲリラの支配区域を通ったりする。中国語そして片言のビルマ語で集落の長やゲリラと交渉し、案内や護衛を付けて貰い多くは密林を歩き時には象の背に揺られてゆく。何たる胆力とバイタリティ。多くは書いていないが、相当に事前準備もしたのだろう。

 自分にとって、バックパッカーの旅は仮にできてもしないだろうが、著者のような「行軍」は仮にしたくてもできないだろう。

 2021年8月14日 自宅にて読了
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】イン・ザ・ハイツ

2021-09-02 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 ものすごく観たい映画ってワケじゃないが、何となく気になったので観に行っ た作品。インド映画だが舞台はニューヨークだから面白そうと思ったのかな…インドじゃなくドミニカを始めとするラテンアメリカコミュニテイーの話だった。割と肌の色の濃い人たちが大勢で踊っていたんでインドなのかと。

 N.Y.はマンハッタン島の北端に近い155丁目から190丁目あたり、ワシントンハイツと言う町があり、ドミニカ人を中心としたラテンアメリカ系コミュニティが存在する。そこで、故国への帰国を夢見て雑貨店で細々と蓄えをする主人公と、彼を取り巻くコミュニティの人々のつながりをミュージカル形式で描く。

 明るく仲良く暮らす住人たちだが、生活は楽ではなく苦労も尽きない。いよいよ主人公に金が貯まり、いざ帰国となった時に何が起きるのか。ラップあり、サルサあり。英語あり、スペイン語あり。ラテンダンスあり、ヒップホップあり。スピーディーに、時にはムーディーに展開する画面は飽きなかった。

 マンハッタンも、セントラルパークの端っこ、70丁目あたりまでしか行ったことないな。そこから北は一人歩きの旅行者じゃ危ないって話もあって。調べたらミッドタウン(32nd)からずっと北上してワシントンハイツまで行く路線バスがあるね、片道1時間半!昼間、車窓から見物するくらいなら面白いかもしれない。バス終点から少し歩けば地下鉄「A-トレイン」の駅だ。地下鉄ならダウンタウンまで戻ってくるのに30分ほど、JFK空港へのエアトレイン接続駅まで1時間15分ほどだ。


 2021年8月12日 川崎・チネチッタにて
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする