著者はバックパッカーではない、探検家だ。人跡未踏かどうかはともかく、常人とは異なる道を行くのが本分だ。本書はそれが遺憾なく発揮されており、他の著書に見られるバカバカしさはなく、ちょっと緊迫感すら漂う。
そもそも「西南シルクロード」なる存在を、本書で初めて知った。ただし、そう名付けられた街道があるわけではなく、著者によれば村から村への細い交易路が綿々と連なり、それをひとまとめにそう呼ぶだけのことではないかと。鋭い。確かに、時の権力者が交易路として整備を命じたのでもない限り、そうした短区間の人の往来の集合体と考える方が正しそうだ。
で、著者は、中国からミャンバーを経てインドへ至るとされているルートを現代に行こうとする。「正統」シルクロードと違って、こちらは既に廃道同然の区間が少なくない。おまけに、ゲリラの支配区域を通ったりする。中国語そして片言のビルマ語で集落の長やゲリラと交渉し、案内や護衛を付けて貰い多くは密林を歩き時には象の背に揺られてゆく。何たる胆力とバイタリティ。多くは書いていないが、相当に事前準備もしたのだろう。
自分にとって、バックパッカーの旅は仮にできてもしないだろうが、著者のような「行軍」は仮にしたくてもできないだろう。
2021年8月14日 自宅にて読了
そもそも「西南シルクロード」なる存在を、本書で初めて知った。ただし、そう名付けられた街道があるわけではなく、著者によれば村から村への細い交易路が綿々と連なり、それをひとまとめにそう呼ぶだけのことではないかと。鋭い。確かに、時の権力者が交易路として整備を命じたのでもない限り、そうした短区間の人の往来の集合体と考える方が正しそうだ。
で、著者は、中国からミャンバーを経てインドへ至るとされているルートを現代に行こうとする。「正統」シルクロードと違って、こちらは既に廃道同然の区間が少なくない。おまけに、ゲリラの支配区域を通ったりする。中国語そして片言のビルマ語で集落の長やゲリラと交渉し、案内や護衛を付けて貰い多くは密林を歩き時には象の背に揺られてゆく。何たる胆力とバイタリティ。多くは書いていないが、相当に事前準備もしたのだろう。
自分にとって、バックパッカーの旅は仮にできてもしないだろうが、著者のような「行軍」は仮にしたくてもできないだろう。
2021年8月14日 自宅にて読了