脳梗塞で倒れ、半身不随近くまでいった著者が記す「こんなんなっちゃいました」物語。
病の当事者が綴った書は少なくないと思うが、全く読んだことがない。それでもたぶん本書がユニークだろうなと思うのは、リハビリ内容や日記ではなく、脳梗塞で倒れた結果の行動、その時著者はどう見え感じ、どうしたいかを具体的かつ克明に描いていること。例えば、一つのことに注意が行ってしまうとそこから目が離せなくなる~例として胸元の開いた服の女性がいると、おっぱいをガン見してしまう、何かの拍子に感情が昂るとギャン泣きしてしまう、脳内の処理速度が発症前より格段に遅くなり、複数のものごとを同時処理できないばかりか1つのことでさえ理解し対処するのが遅くなる、等々。なるほど、そういうものか。
著者のリハビリを支えたのは、リストカットの常習者でもあり世間的にはちょっとおかしく思われる妻。「ようやく私の気持ちが分かったか」と著者をせせら笑いながら、寄り添ってサポート。一人暮らしだと著者のような回復は望めないのかもしれない。
極めてシリアスかつ貴重な体験談を、ユーモアある書きぶりで仕上げたセンスは秀逸。失礼ながら、彼本来の貧困関連の著作よりよっぽど面白い。
2021年8月16日 自宅にて読了
病の当事者が綴った書は少なくないと思うが、全く読んだことがない。それでもたぶん本書がユニークだろうなと思うのは、リハビリ内容や日記ではなく、脳梗塞で倒れた結果の行動、その時著者はどう見え感じ、どうしたいかを具体的かつ克明に描いていること。例えば、一つのことに注意が行ってしまうとそこから目が離せなくなる~例として胸元の開いた服の女性がいると、おっぱいをガン見してしまう、何かの拍子に感情が昂るとギャン泣きしてしまう、脳内の処理速度が発症前より格段に遅くなり、複数のものごとを同時処理できないばかりか1つのことでさえ理解し対処するのが遅くなる、等々。なるほど、そういうものか。
著者のリハビリを支えたのは、リストカットの常習者でもあり世間的にはちょっとおかしく思われる妻。「ようやく私の気持ちが分かったか」と著者をせせら笑いながら、寄り添ってサポート。一人暮らしだと著者のような回復は望めないのかもしれない。
極めてシリアスかつ貴重な体験談を、ユーモアある書きぶりで仕上げたセンスは秀逸。失礼ながら、彼本来の貧困関連の著作よりよっぽど面白い。
2021年8月16日 自宅にて読了