「ダブル」永井するみ(双葉文庫)
文庫本になったので、読み返してみた。
実は、私が最初に読んだ永井するみ作品。
「おもしろい!」、と感じて、その後、現在に至っている。
そんな訳で、永井するみファンになるきっかけになった作品。
読み直して感じたけど、やはりおもしろい。
妊婦の乃々香と雑誌記者の多恵。
交わるはずのない二人がクロスし物語が動き出す。
ところで、他にも時々読み返す短編がある。
「天使などいない」に収録されている「マリーゴールド」と「別れてほしい」。
(この2つは、特に面白い)
最近、長編が多い永井するみさんだけど、短編集もレベル高い。
また、書いてくれないかな。
あとがきの代わりに、インタビューが掲載されているので、気になる箇所をピックアップする。
お互いのちょっとした行き違いとか、価値観の違いから齟齬が生じて、
その軋轢から悲劇が起きてしまうという小説を良く書いています。
それは、人間のちょっとした悪意とか、誰でももっているエゴイズムに興味をもっているからだと思うんです。
最近は事件の派手さと言う面では現実のほうが小説を凌駕しているので、
私はむしろ人の心理が起こす事件を書いていきたいと思っています。
今後の予定については・・・
連作短編集と3月に新刊が出るそう。
また、刑事物にも初挑戦する予定、とのこと。
うん、楽しみ。
PS
このインタビューより、web本の雑誌のインタビューの方がいい。
(インタビューする方に好感が持てる)
→作家の読書道:
第67回 : 永井 するみさん
【おまけ】
2007年6月9日(土曜)に書いた私のコメントを再録しておく。
「ダブル」永井するみ(双葉社)
以前から名前は知っていた。
永井するみ、と言う作家を。
でも、これほどのレベルとは思わなかった。
本格ミステリーで面白いのは、宮部みゆきさんと、桐野夏生さんくらい、と。
これから永井するみさんは要チェック、だ。
おもな登場人物は2人。
雑誌記者の多恵。
妊婦の乃々香。
同じ20代後半、異なる道を歩んでいる。
2人が交わり、親しくなって、対立する。
ホテルでの対決シーンは圧巻。
迫力満点。
多恵の自宅での「あのシーン」も怖かった。
最後のページを読んだ後、タイトルの深い意味が見えてくる。
・・・それにしても乃々香のキャラは怖い。
これはオススメ。