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百人一首

2015年01月21日 22時36分28秒 | 読書(エッセイ&コラム)


朝日新聞2014年12月13日より
「百人一首で好きな歌」という特集であった。
私は、18位の歌に注目した。

あひみての後の心にくらぶれば昔はものを思はざりけり

権中納言淳忠(ごんちゅうなごんあつただ)の作品。
田辺聖子さんの「文車日記」に次のように書かれている。

P19
「あう」というのは、昔の語意では男女のあいだの直接的な恋愛行為を指します。
(中略)
私はこの歌の「あひみての」という語句に、複雑な皮肉のひびきを感じます。そして作者が男であるという点でも、大いに興味をもたないではいられません。
(中略)
男にとって、女は思いのほか物足りぬ人だったのかもしれませんし、また、いったん躰を交わしたあとは、心ざまが急速に浅くなってゆく、男の性のせいかもしれません。
女のほうは昔より恋心が募り、男の方は反対の意味で「昔は単純だった」と思う。一つの歌が、女性的解釈と男性的解釈と両方にとれるところが私には面白いのです。

さすが田辺聖子さん、深い読みをされている。
感心した。
文車日記―私の古典散歩 (新潮文庫)