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「浅田次郎とめぐる中国の旅 『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界」

2015年05月16日 10時46分28秒 | 読書(エッセイ&コラム)

 浅田次郎とめぐる中国の旅―『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界
「浅田次郎とめぐる中国の旅 『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界」

 中国に造形が深い著者が、自著に絡めて、見所を紹介する企画作品。

装飾用の瓶の金メッキの傷についての説明・・・これはアロー号事件のときに、紫禁城を勝手に占領した英仏連合軍の兵士たちが、自分たちの銃剣でそぎ取っていったあと、だと。
P25
もしかしたらそのあとの義和団事件のときも同じことが重ねられたかもしれません。略奪をほししままにして、金メッキまではぎ取って持っていったということなんですね。いかに今の歴史が西洋史観に基づいているかがわかりますね。日本人が中国で悪いことをしたということはみんなが責めるんだけども、イギリスやフランスが中国で悪いことをしたことについては、なかったことになっている。恐らく中国人の人も、皆さん教えられてなくて知らないことかもしれないし、ガイドさんのそういう説明というのも、ぼくはあまり聞いたことがないです。

どうして西太后は悪女のイメージになったのか?
ヨーロッパ、特にイギリスの植民地政策の中で生まれた伝説なのではないか?
P80
侵略するためには大義名分が必要ですから。つまり現在の悪い王を倒して自分たちが国民を解放するのだと。アメリカとイラクに似ていますね。ブッシュにとっては、どうしてもフセインは悪者でなければならないわけだから。

江青女史について・・・明治大学教授の張競氏のコメント
P90-91
気性が激しくて人との関係がうまくいかなかったんです。最後に刑務所で自殺したのも象徴的で、自分の娘、毛沢東との子供と口げんかして自殺した。ただ、時代が移るとだんだん別の面も現れてくるもので、共産党の幹部などにいわせると彼女は非常に上品で、いい趣味をしていたという話も出てきています。元が映画女優ですから西洋的なものも知っているし馴染んでいるんです。いつも毛沢東のことを「土包子(トウパウツ)」、つまり田舎者といってバカにしていたそうです。

【蛇足】
例によって、誤植を見つけた。
P165
袁世凱 東華門外で刺客に教われるも難を逃れる(誤)

袁世凱 東華門外で刺客に襲われるも難を逃れる(正)

【ネット上の紹介】 
『蒼穹の昴』『中原の虹』完全ガイドブック 浅田次郎氏が見どころを解説する紫禁城ツアーや北京の歩き方。小説の世界がビジュアルで立ち上がる、読んで、見て楽しむガイドブック。ファン、旅行者必携です。
[目次]
1 紫禁城(エッセイ 正大光明
浅田次郎と紫禁城を歩く ほか)
2 北京(北京中心部地図
北京広域地図 ほか)
3 満洲へ(エッセイ 英雄たちの囁き
瀋陽市街地図 ほか)
4 万里の長城(華北地方の長城を訪ねる
インタビュー 浅田次郎、歴史小説を語る ほか)