「いとの森の家」東直子
小学4年の加奈子は父の転勤により、都会から田舎の小学校に転校になる。
そこで出会った人々とエピソードが綴られている。
特に、おハルさんという、お婆さんは重要。
死刑囚の慰問を続けていて、「死刑囚の母」と呼ばれる白石ハルさんんがモデルとなっている。
自らの体験を元に書かれた作品で、舞台は福岡の糸島が舞台。
P10
名前を書き終わった先生が振り返ってふたたびこちらを向いたとき、教室はしずまりかえった。私はごくりと唾をのみこんだ。
「今日からこのクラスで一緒に勉強をすることになりました、山田加奈子さんです」
P139
布団たたみ雑巾しぼり別れとす
(中略)
「そうそう。死刑囚に、俳句や短歌の先生が教えに来てくれて、作るようになる人もいるのよ。この俳句は、昨日、この人が処刑の直前に書き残した俳句なの」
【参考リンク】
東直子さんインタビュー2015.4.7 (ブックショート)
直久(なおきゅう) (公式サイト)
【ネット上の紹介】
父の突然の思いつきで、小さな村に引っ越してきた加奈子は都会とのギャップにとまどいながらも、自然の恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。そして、森で出会った笑顔の素敵なおばあさん・おハルさんと過ごす時間の中で、命の重みや死について、生きることについて考えはじめる―。著者初の自伝的小説。第31回坪田譲治文学賞受賞作。