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「帰郷」浅田次郎

2017年03月02日 20時58分40秒 | 読書(戦争/引き揚げ/ 抑留)


「帰郷」浅田次郎

戦争をテーマにした短編集。
次の6編が収録されている。

「帰郷」
「鉄の沈黙」
「夜の遊園地」
「不寝番」
「金鶏のもとに」
「無言歌」


特に良かったのがが「金鶏のもとに」。
複雑で壮絶な作品である。

P198
(軍命令により、人倫に悖る行為を処断する。命令は知っていたな)
 はい、と兵は神妙に答えた。
 人倫に悖る行為は即刻処断すべしという軍命令が、具体的にどういう意味であったのか、染井はそのとき初めて知ったのだった。支那戦線でのその種の命令は、無抵抗の現地住民をみだりに殺傷するなとか、婦女子を犯すなという意味だったが、ブーゲンビルではまったくちがっていた。つまり、飢えても人の肉は食うなということだ。

【参考リンク】
「戦争」という普遍を書く。浅田次郎の新刊『帰郷』インタビュー|文

浅田次郎の連作短編集『帰郷』が描くもの「これは戦争小説ではなく反

【おまけ】
読んでいて、「ゆきゆきて、神軍」を思い出した。
忘れられない強烈な作品だ。
 

【ネット上の紹介】
みんな、普通の人だった──。作家・浅田次郎のライフワークである「戦争」をテーマにした短編集。名もなき一般市民の目線から、戦中戦後の東京の風景を描き出す。人情ドラマが光る全6編。