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「マネーロンダリング」橘玲

2017年04月27日 20時15分29秒 | 読書(小説/日本)


「マネーロンダリング」橘玲

香港在住の秋生。
謎の美女・麗子が訪ねてくる。
「五億円を日本から海外に送金し、それを損金として処理したい」、と。
即ち「脱税」である。
その後、彼女は5億でなく50億の金と共に消える。
金の行方を探るにつれ、彼女の過去も明らかになってくる。

2002年の作品だが、旧さを感じず、面白く感じた。
ほとんど一気読み、である。
パソコンや脱税の描写は、今となっては古いものもあるかも知れないが、
それ以上に、物語の面白さが凌駕している。

【おまけ】
先日読んだ「言ってはいけない」と同著者だが、小説の方が読ませる内容だ。
これだけ優れた内容なのに、「このミス」「文春ミステリー」にランクインしていない。
「ミステリ」じゃなく「経済小説」としたのだろうか?
いずれにせよ、重大なモレ、と思う。

【おまけ】2
作中で「精神分裂病」と表記されるが、「統合失調症」である。
認知機能の低下によるもの、と現代では考えられている。
ちなみに、境界例を扱った傑作に「症例A」がある。(お薦め)

【ネット上の紹介】
香港在住の元・ウォール街のファンドマネジャー工藤秋生は、香港の銀行口座開設の手助けなど、脱税を目的とした、もぐりのコンサルタント業をしていた。ある日、日本の知人からの紹介で工藤を美しい一人の女・若林麗子が訪ねる。「じつは五億円を日本から海外に送金し、それを損金として処理したいのです」工藤に求められたスキーム、それは完全に脱税の指南だった…。そして四ヶ月後、麗子は消えた。五億ではなく五〇億の金とともに。麗子はどこへ消えたのか?金融のことを何も知らないはずの麗子が、五〇億もの金をどうやってあとかたもなく消し去ることができたのか?そして、そもそも麗子が話を持ち込んだ「五億の金」とは、どんな“ファンド”だったのか?金融を知り尽くした新人作家による、驚天動地の“脱税”小説。