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「資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ」佐藤優

2017年04月19日 20時15分52秒 | 読書(昭和史/平成史)


「資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ」佐藤優

資本主義とは何か?
恐慌はなぜ起こるのか?戦争との親和性は?
明治にまでさかのぼり、資本主義がどのように入り、現在に至るかを解説している。
あとがきによると、『宇野弘蔵の方法論にしたがって、明治維新以後の日本史を題材に、資本主義の内在的論理を読み解いた』、とある。

P87
資本主義の根底にあるのは、「カネをすこしでも稼ぎたい、カネをすこしでも貯め込みたい」というイデオロギーです。

P160
私の読解では、『蟹工船』は「正しい階級闘争の仕方」についてのマニュアル小説であり、「日本共産党以外にプロレタリアートに救いなし」を伝えることを目的として書かれています。

P164
ファシズムは「束(たば)」を意味するイタリア語の名詞から来ているように、味方を束ねて動員型政治を展開するところに特徴があります。

P218
結局、安倍政権が意図していることは、資本主義社会を維持するために、女性をどう“利用”するかということでしかかりません。だから一方では「すべての女性が輝く社会づくり」と言いながら、改正労働者派遣法を成立させて、不安定雇用を強化しています。

P230
たとえば友達に本をプレゼントする、割り勘にせずにご馳走しあう、家族と過ごす時間を大切にする。こうした商品経済の論理とは異なる人間関係を大事にすることが、1人の個人にとっては、資本の論理に支配されない最善の方法なのです。

P231
「絆」や「結束」の強調は、ファシズムへの一歩を踏み出すことになります。「一億玉砕」を想起させる「一億総活躍」を打ち出す安倍政権は、意識しているかどうかは別として、ファシズムに向かっている。つまり安倍政権というのは、新自由主義的な要素とファシズム的な要素が無自覚に同居しているのです。

【ネット上の紹介】
将来不安が増す一方で、急速な世界株安が起こり、テロの暗雲が世界を覆う。なぜ、このような状況に陥ったのか?戦争の時代は繰り返されるのか?個々の生き方から国際情勢までを規定する資本主義の本質を解き明かす。明治期にまでさかのぼり日本独自の問題点を明らかにするとともに、資本主義の矛盾のなかで生き抜く心構えを説く。新境地を開く書き下ろし!

序章 資本主義を日本近代史から読み解く
第1章 日本資本主義はいかに離陸したか?―「明治日本」を読み解く極意(近代的貨幣制度の幕開け
資本主義と農業はどう結びつくか
インフレ政策からデフレ政策へ―大隈財政と松方財政
日本資本主義はどこが特殊なのか)
第2章 日本資本主義はいかに成熟したか―「恐慌の時代」を読み解く極意(恐慌から産業革命へ
明治期のブラック企業
商人資本から産業資本、金融資本へ―「段階論」の三つの類型
財閥登場―帝国主義段階への移行)
第3章 国家はいかに資本に介入したか?―「帝国主義の時代」を読み解く極意(バブル経済から金融恐慌へ―第一次世界大戦期の日本経済
世界恐慌は日本経済をどう変えたのか
日本資本主義論争のインパクト
恐慌か、さもなくば戦争か)
第4章 資本主義はいかに変貌したか?―現下日本と国際情勢を読み解く極意(「経済の軍事化」「TPP」をどう捉えるか
アベノミクスをどう捉えるか
同時多発テロをどう捉えるか
「教育格差」「女性の活用」をどう捉えるか
むきだしの資本主義社会をどう生き抜くか)