「 臨床真理」柚月裕子
第7回『このミステリーがすごい!』大賞受賞。
ヒロインは臨床心理士・佐久間美帆。
自分の担当する患者の青年が「共感覚」の持ち主で、感情や言葉を色で認識するという。
彼は真実を語っているのか?
二人は、知的障害者施設で起こった少女の自殺の真相を追う。
失語症患者がパソコンをなかなか使わない理由のひとつに、漢字よりもひらがなのほうが判別しにくいということがある。漢字ならば文字を見ただけでイメージが頭のなかに浮かびやすいが、ひらがなは単純な作りの文字を、ひとつひとつ読んでいかないと意味がわからない。
【感想】
共感覚と言うと、「天空の犬」のシリーズ、南ア署山岳救助犬ハンドラーの夏実を思い出す。
(私の好みは、樋口明雄作品だけど)
また、病院を舞台にして精神科医、臨床心理士が登場する作品としては、「症例A」を思い出す。
(これも、私の好みは、多島斗志之作品だけど)
それでも、「 臨床真理」は、どちらよりも、先に発表されている。
そういう意味で、先鞭で価値がある、と思う。
【ネット上の紹介】
「新人作家とは思えぬ筆力」「醜悪なテーマを正統派のサスペンスに仕立て上げた腕前は見事」と、茶木則雄、吉野仁両氏がそろって大絶賛! 応募総数が過去最高を記録し、大激戦となった第7回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作がついに文庫化です。 新進気鋭の臨床心理士・佐久間美帆と、神から与えられたとも言われる「共感覚」を持つ青年・藤木司が、声の色で感情を読み取る力を使い、知的障害者施設で起こった少女の自殺の真相を追う!