「欲望の名画」中野京子
P126
銀行(bank)という単語自体、イタリア語のバンコ(banco)が起源なのだ。それはイタリアの各都市国家がそれぞれ貨幣を発行したため両替の必要が生まれ、町の広場にバンコという台を置いて、それ台の上で両替商が硬貨の重さを量るなどの交換業務を行ったことに由来する。
P138
フェルメールの作品は常に「静謐」という言葉とセットで語られる。確かにどの絵も喧噪からほど遠い。不思議なことだ。なぜなら彼は十人以上の子持ちのうえ、姑や女中も同居する町なかの自宅をアトリエにし、飼育している鶏の鳴き声はもちろん、すぐ近くの教会が日に何度も打ち鳴らす大音量の鐘の音に至るまで、種々雑多な、そして絶え間のない生活音に囲まれて制作していたのだから。
【ネット上の紹介】
狂おしく激しい愛情、金銭への異常な執着、果てない収集癖、飽くなき野心…。人はあらゆる欲望を絵画に込めてきた。細部に描かれた小さな情報も見逃さず、名画に込められた意図を丁寧に読み解く。
第1章 愛欲
第2章 知的欲求
第3章 生存本能
第4章 物欲
第5章 権力欲
欲望の果てに
第2章 知的欲求
第3章 生存本能
第4章 物欲
第5章 権力欲
欲望の果てに