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「こんぱるいろ、彼方」椰月美智子

2020年07月15日 14時39分44秒 | 読書(小説/日本)
「こんぱるいろ、彼方」椰月美智子

真依子は近所のスーパーで働く主婦。
大学生の娘と、中学3年の息子がいる。
ある日、娘の奈月がパスポート取得するのに戸籍謄本がいると言い出す。
以下ネタバレのように感じるかもしれないが、重要な点はそこではない。
母親の秘密を知った後の周囲の行動が重要なのだ。

P64
上から順番に目を通していき、あるところで突然の違和感があった。母の出生地欄だ。
「・・・・・・ヴェトナム国ニャーチャン市・・・・・・?」

P69
「わたしたちね、ボートピープルだったの」
(中略)
「ベトナム戦争の難民として、ボートに乗って日本に来たのよ」
「はああ?なにそれえ?」

P154
「あそこが統一会堂みたい」
(中略)
「歴史的な場所だよね」

P168
ベトコンはベトナムコンサンの略。ベトナム共産という意味だ。意味的にはなんら蔑称ではないと、奈月は感じる。正式名称は、南ベトナム解放戦線。南ベトナムを、アメリカの傀儡政権から解放する、という意味だ。

P246
ふいに、母親って一体なんなんだろうな、と思う。子どもが生まれてからは、思考の大半を子どもに持っていかれている。

【蛇足】
以前、ベトナムを訪問したことがある。
ハノイとカットバ島・・・いずれも北部にある。
残念ながら、南にあるホーチミン(サイゴン)と中部地方は行っていない。
次回、機会があれば行ってみたい。

【ネット上の紹介】
「ベトナム人? お母さんが?」サラリーマンの夫と二人の子どもと暮らす真依子は、近所のスーパーの総菜売り場で働く主婦だ。職場でのいじめに腹を立てたり、思春期の息子・賢人に手を焼いたりしながらも、日々は慌ただしく過ぎていく。大学生の娘・奈月が、夏休みに友人と海外旅行へ行くと言い出した。真依子は戸惑った。子どもたちに伝えていないことがあった。真依子は幼いころ、両親や兄姉とともにボートピープルとして日本に来た、ファン・レ・マイという名前のベトナム人だった。真依子の母・春恵(スアン)は、ベトナム南部ニャチャンの比較的豊かな家庭に育ち、結婚をした。夫・義雄(フン)が南ベトナム側の将校だったため、戦後に体制の変わった国で生活することが難しくなったのだ。奈月は、偶然にも一族の故郷ベトナムへ向かう。戦争の残酷さや人々の哀しみ、いまだに残る戦争の跡に触れ、その国で暮らす遠い親戚に出会う。自分のルーツである国に深く関心を持つようになった奈月の変化が、真依子たち家族に与えたものとは――?