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「ベビーシッターは眠らない」松田志乃ぶ

2022年09月24日 08時37分01秒 | 読書(小説/日本)


「ベビーシッターは眠らない」松田志乃ぶ

親権、里親、児童相談所、いろいろ問題が浮き彫りになる。
とても興味深い。
一般ライトノベルのレベルを超えている。
やはり、松田志乃ぶ作品は面白い。

P147
タツノオトシゴのつがいは、メスがオスの腹部にある育児嚢と呼ばれる袋の中に卵を産みつけ、オスの体内で受精させる。繁殖におけるメスの役目はこれだけで、受精卵が稚魚となるまで、子どもたちを体内で守り、出産するのはオスの仕事である。

P152
家族というのは、たいてい、一度の失敗、一打の衝撃だけでは壊れるものではない。小さなひびが重なり合って、ある日、ついにバラバラになる。

P266
愛は恐ろしく変容しやすく、化けやすい、厄介なしろものだ。胸に抱いていた「愛情」が知らぬうちに「執着」や「支配」にとってかわられていることもある。血のつながりがあることは、その問題を少しも解消しないし、むしろ、あるからこそ、自分の親としての正当性を疑わず、これは愛だと信じきって、我が子の口にせっせと毒をそそぎ続ける人間もいる――。

【ネット上の紹介】
各種資格を保有する、プロのベビーシッター・茨木花。今度の派遣先は、両親ともに政治家という大和家だが、母親の不貞で夫婦関係は破綻し、父子家庭になるらしい。3歳になる娘・七海のシッターになる花だが、七海の誕生パーティー当日、プレゼントをめぐるある事件が起きて……? また、七海と同じスイミングスクールに通う、5歳の男の子・葉山櫂と知り合った。賢くて人懐っこい櫂は、不動産業を営む優しい父親と、お菓子作りが得意な母親と三人暮らし。誰からも幸せそうに見える葉山一家。しかし、ふとしたきっかけで、この理想的な家族に思いもよらない秘密があることに気づいた花は……。夫婦にも、親子にも、家族の数だけ、秘密があるーー。でも、子どもにはいつも笑っていてほしい。涙と希望のヒューマンドラマ。