長谷川町子ってサザエさんみたいな人?
読者、視聴者は思うかもしれない。
長谷川町子さんは一度も結婚してないし、当然子どももいない。
3人姉妹+母親で生活。
それでも、一般庶民家庭を描き、その家族は日本中に親しまれた。
P177
母の貞子がマネージャーの役割で、原稿や取材の依頼などに対応する。依頼を受けるかどうかの判断は貞子の仕事だ。姉の毬子は町子の作品を専門に出版する姉妹社を切り盛りしてた。そして、妹の洋子は姉妹社の経理を担当し、さらに雑用を担い、町子の作品を読んで批評もした。
P261
あれだけ堅い結束を誇った三姉妹が最後は絶縁状態になった。そのため、町子が死去した時も、毬子はそれを洋子に知らせるのを拒んだ。
P268
毬子の真意はどこにあったのか。考えられるのは、洋子の存在を危惧したということだ。洋子は結婚して二人の娘がいる。いずれ、町子の財産は洋子やその娘に相続の権利が発生するはずだ。なんとしても、それを阻止したい意思があったのかと推測できる。
(中略)
洋子によると、町子の死は「冠動脈硬化症」だったらしい。
P282
仲良しで温かい家庭を描いた町子は、サザエさんとは対照的な道を歩み亡くなった。家族は崩壊し、まったく赤の他人が町子の残した偉業を管理し、その収益をコントロールするようになった。これは、通常のファミリー企業ではあり得ない話だ。
【感想】
著者の実情と作品が乖離することがある。
例えば、「アン・シリーズ」の著者のモンゴメリは自殺した、とも言われている。あれだけ、少女たちに夢を与えながら、本人は“鬱病で自殺”・・・。
【ネット上の紹介】
作者没後28年なお不動の人気を誇る国民的漫画、アニメの『サザエさん』。だが、15歳で天才少女としてデビューし、72歳で亡くなる5年前まで描き続けた長谷川町子とその家族のことは意外なほど知られていない。戦後の荒廃から日本が怒涛の成長を遂げた時期に『サザエさん』出版を家業として姉妹社を立ち上げた一家は、磯野家の人々とはおよそ真逆の愛憎、かけひき、確執が充満する空間を生きる。度肝を抜く額の収入、家族の不和と崩壊、自伝に書かれた虚―これらをひた隠した長谷川家の三姉妹の、苛烈な人生の光と闇を描いた評伝。
第1章 盗まれた遺骨
第2章 長谷川家の命運
第3章 天才少女漫画家
第4章 戦時下の恋
第5章 「サザエさん」連載開始
第6章 復興期の「サザエさん」第7章 嫉妬と羨望
第8章 巨万の富
第9章 町子の「家出」
第10章 「サザエさん」訴訟事件
第11章 家族崩壊
第12章 長谷川家の光と影