「名画で読み解くブルボン王朝12の物語」中野京子
読み返し。
P32、P32、P40・・・マリー・ド・メディシス
●「告白好きの人間は逸話が少なく、面白みもない」
●政治より自己陶酔が大事だったのだろうか?「見て見て、わたしを見て!」と主張せずにおれなかったのか。確かに、周囲の顰蹙に対して徹底して鈍感なのが、ある意味彼女の強みではあった。
●自意識と自惚れは強いが強烈な個性やカリスマ性に乏しく、周囲を平伏させる能力はなかった。
P69
アンヌ・ドートリッシュの人気が高いのは、女性としての魅力もさることながら、この母性、それも盲目的な愛ではなく賢明な愛を息子に与え、導き、偉大なる王にし、さらには息子からも深く愛されたという、その点にあるに違いない。
P98・・・マリア・テレサ
「王妃になって以来、幸せな日はたった1日しかなかった」と言い残して44歳でみまかった。悲しい言葉だ。(中略)王妃の死を知らされたルイの感想は「彼女が余に迷惑をかけるのはこれが初めてだ」
P138
王はポンパドゥールの死後4年間、公式寵姫の座を空位にした。だが王妃の亡くなった1か月後には、娼婦あがりのデュ・バリーを新たにヴェルサイユに引き入れた。人々はそこで改めて、ポンパドゥールがいかに類希な女性であったか思い知るのであった。
P141
処刑前夜、家族で過ごしたいと願うアントワネットに対し、王はひとりでいたいからと自室へこもっている。翌日も、会いたがる妻を避け、悠々とひとりで朝食をとってギロチン台への馬車へ乗り込んだ。みんなを悲しませたくなかったからとも、悲しむみんなをみたくなかったからとも言われるが、むしろひとりが居心地良かったのではないだろうか。
淡々と死んでいった。
フランス革命→ロベスピエール→ナポレオン
この移り変わりを分かりやすく説明してくれている。(P176-P178)
ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』について。(P190)
実は彼女は人間ではない。人間の姿形をとった抽象概念なのだ。
擬人像「自由」は従来、フリジア帽をかぶった女性として描かれるのが決まりである。
【総括】P199
栄華を誇ったブルボン王朝だが、こうして見ると、終わるべくして終わったとの感が強い。ルイ太陽王の過去の威光があまりにまばゆく、プライドばかりが肥大して柔軟性を欠き、自滅の様相を呈しての終焉だ。とはいえ壮大なヴェルサイユと、世界に対するフランスの文化的優位は立派に残したのであった。
【ネット上の紹介】
[要旨]
世継ぎの混乱と血みどろの宗教戦争に彩られた王朝の誕生から、十九世紀、ヨーロッパ全土に吹き荒れた革命の嵐による消滅まで、その華麗な一族の歴史を、十二枚の絵画が語りだす。『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』に続く、ヨーロッパの名家を絵画で読み解く第2弾。
[目次]
ルーベンス『マリーのマルセイユ上陸(『マリー・ド・メディシスの生涯』より)』;ヴァン・ダイク『狩り場のチャールズ一世』;ルーベンス『アンヌ・ドートリッシュ』;リゴー『ルイ十四世』;ベラスケス『マリア・テレサ』;ヴァトー『ジェルサンの看板』;カンタン・ド・ラ・トゥール『ポンパドゥール』;グルーズ『フランクリン』;ユベール・ロベール『廃墟となったルーヴルのグランド・ギャラリー想像図』;ゴヤ『カルロス四世家族像』;ダヴィッド『ナポレオンの戴冠式』;ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』