「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子
読み返し。
P104
日本側が早く不平等条約を廃止してくださいと言い続けたとき、列強が「それでは商法、民法を編纂してくださいというのは、ある意味、正統な言い分ではあったわけですね。
P185
1902年に満洲から撤兵しますよといったのに、ロシアは撤兵しない。中国と約束したはずの撤兵期限をなかなか守らないという事態を見て、イギリスは日本に同盟を提案するのです。
P204
日清戦争は帝国主義時代の代理戦争でしたが、日露戦争もやはり代理戦争です。ロシアに財政的援助を与えるのがドイツ・フランス、日本に財政的援助を与えるのがイギリス・アメリカです。
P211
ロシアが黒竜江省、吉林省、遼寧省という3つの省を占領していたことで排除されていた国々が平等に満洲に入れるようになった。(中略)「さあ、帝国主義のみなさん、いらっしゃい」と中国東北部を開いた。これが日露戦争でした。
P441
魚雷は高度100メートルぐらいで飛ぶ飛行機から落とされると、ガーッと60メートルくらい、海面から沈む。(中略)
真珠湾は水深12メートルの浅い湾でした。戦艦は水面から船底まで7メートルあれば停泊させられますから、ここに停泊させるのは合理的です。
【ネット上の紹介】
膨大な犠牲と反省を重ねながら、明治以来、四つの対外戦争を戦った日本。指導者、軍人、官僚、そして一般市民はそれぞれに国家の未来を思いなお参戦やむなしの判断を下した。その論理を支えたものは何だったのか。鋭い質疑応答と縦横無尽に繰り出す史料が行き交う中高生への5日間の集中講義を通して、過去の戦争を現実の緊張感のなかで生き、考える日本近現代史。小林秀雄賞受賞。
序章 日本近現代史を考える
1章 日清戦争―「侵略・被侵略」では見えてこないもの
2章 日露戦争―朝鮮か満州か、それが問題
3章 第一次世界大戦―日本が抱いた主観的な挫折
4章 満州事変と日中戦争―日本切腹、中国介錯論
5章 太平洋戦争―戦死者の死に場所を教えられなかった国