波瀾万丈、ワリス・ディリーの自伝。
ソマリアの砂漠に生まれ、遊牧民として山羊やらくだの世話をして生活してきたワリス。13歳で老人と結婚させられそうになり、夜明け前の砂漠を走って逃げる。
都会に出て、そこからロンドンで住み込みメイドをする。モデルとして見出され、やがてミラノ、パリ、ニューヨークと渡り歩く遊牧民の生活となり、いつしか「スーパーモデル」と言われる存在に。とてつもない勘と思い切りの良さで人生を切り開いていった女性。
読書の醍醐味の一つは、まるっきり想像もつかないような人生を追体験できること、と改めて気づかせてくれる作品だ。
P104
「あの人がおまえをもらうために、なにをもってきてくれると思う?ん?」
「なんなの?」
「ラクダ五頭だよ」ラクダを五頭もくれると言うんだ」父がわたしの腕をたたいた。
「父さんはおまえを誇りに思うよ」
P410
幸せというのは、なにかをもつことではないということも学んだ。わたしはなにももっていなかったが、とても幸せだった。
【ネット上の紹介】
遊牧民の少女ワリス・ディリーは、夜の砂漠へ逃げ出した。老人と結婚するなんて嫌。自分の人生を生きるため、砂漠の中をひた走る。やがて運命に導かれるようにロンドンへ。写真家の目に止まり、スーパーモデルへの階段を駆け上がる。だが華やかな成功の裏で、ある秘密が彼女を苦しめていた―。衝撃的な女子割礼の事実を公表し、世界的なベストセラーとなった話題作。映画『デザート・フラワー』の原作。