「名画と読むイエス・キリストの物語」中野京子
読み返し。
P20
古代ユダヤでは、男子は13歳、女子は12歳になると、一人前の成人とみなされた。したがって多くは十代半ばまでに結婚した。大工のヨセフと婚約者のマリアも、おそらく13歳から15歳の間だったと思われる。
『受胎告知』フラ・アンジェリコ
P58
イエスは洞窟の中で、40日間、断食と祈りを続けた。
40は聖なる数であり、何かを為すための準備期間として必要な数とされていた。モーセもエリヤも40日間荒野にこもったし、ノアの洪水も40日続き、人が母の胎内にいるのは40週と考えられた。イエスで言えば、復活後40日間この世にとどまっていた。エルサレムの滅亡は、イエスの死の40日後である。
P69
後にイエスはシモンに、ペテロ(岩の意)という名を与える。岩の上に教会を建て、「天国の鍵」を預けよう、と約束もした。
P70
ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂は、聖ペテロの聖堂という意味だ。絵画においては、十字架に釘で打ち付けられる白髪の老人姿でよく描かれる。
P177
イエスの処刑に、ローマ人たる自分は無関係だ、責任はおまえたちユダヤ人で取れ、と突き放したのだが、雪崩をうって突き進む群衆は、なんら恐れもためらいもなく、「その血は、我らと我らの子孫に帰すべし」と、歴史におけるユダヤ人観を決定づける答えを返すのだった。
P200
キリスト教における最重要の祝日といえば、復活祭(=イースター)。なぜならこの祭は、イエスが予言どおり復活したのを寿ぐ日、即ち、イエスが人間から神になった記念日だからだ。
【ネット上の紹介】
ドラマティックなイエス・キリストの物語画は、独創的な表現に満ちた傑作・名作のオンパレード。イエスのおおまかな生涯を知った上で西洋名画を楽しみたい―そう願う人のための、これは手引書である。
[目次]
幼子イエス;洗礼;荒野の修行;伝道;奇蹟;女たち;使徒たち;エルサレム;最後の晩餐;ゲッセマネ;裁判;磔刑;復活