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「動的平衡 2 新版」福岡伸一

2021年01月25日 15時08分41秒 | 読書(科学)
「動的平衡 2 新版」福岡伸一

「動的平衡」第2弾。
前回に引き続き、生命とは何か、と根源的な問題を考察し、
関連して、最新サイエンスが紹介される。

P61
たぶん、遺伝子は音楽における楽譜と同じ役割を果たしているにすぎない。記された音符の一つ一つは同じでも、誰がどのように演奏するかで違う音楽になる。

P100
ヒトにとって最もアミノ酸バランスのよい食材の一つが鶏卵である。私たちが必要とするアミノ酸が、必要とするバランスで含まれている。

P233
腎臓には1日1700リットルもの血液が流れ込む。これは全身の血液が1日300回以上循環する計算になる。

P240
1分間に20回呼吸をするとして、それだけで10リットル。1日は1440分だから、私たちは毎日およそ1万5000リットルもの息を吐いていることになる。
 この息のうち4パーセント、つまりざっと600リットルが二酸化炭素である。

P262
どんなに科学技術が進歩したところで、人間は森羅万象の全てを理解することはできない。常に「わからないこと」を抱えて生きていかなければならない存在である。
 そのとき、私たちは「真か偽か」という科学的な議論から離れ、「善か悪か」という哲学的な判断を迫れることになる。しかし、この場合にも私たちは部分しか見ることができない。そして部分の効率や幸福を求めると、逆にみんなの効率や幸福には繋がらないことも少なくないのである。
 では、いったい、私たち人間は何を判断基準に生きていけばいいのだろうか。これはもう一義的に言えるようなテーマではないと思う。ただ、個人的な感想として言えば「真偽」「善悪」の次のフェーズとして「美しいか、美しくないか」という「美醜」のレベルがあるように感じている。
(生命がテーマだけど、別な話をする。例えば、クライミングにおいて「チッピング」の「真偽」「善悪」は、どう判断するか?・・・これに対して、「美しくない」、と返せる)

【ネット上の紹介】
身近な話題から深淵なテーマまで、さまざまな切り口で、最新のサイエンスを紹介。読者を「生命の本質とは」という根源的な問題に誘っていく。新書化にあたり、時間についての論考を追加。知的興奮が味わえる「福岡ハカセの生命理論」決定版。
第1章 「自由であれ」という命令―遺伝子は生命の楽譜にすぎない
第2章 なぜ、多様性が必要か―「分際」を知ることが長持ちの秘訣
第3章 植物が動物になった日―動物の必須アミノ酸は何を意味しているか
第4章 時間を止めて何が見えるか―世界のあらゆる要素は繋がり合っている
第5章 バイオテクノロジーの恩人―大腸菌の驚くべき遺伝子交換能力
第6章 生命は宇宙からやって来たか―パンスペルミア説の根拠
第7章 ヒトフェロモンを探して―異性を惹き付ける物質とその感知器官
第8章 遺伝は本当に遺伝子の仕業か?―エピジェネティックスが開く遺伝学の新時代
第9章 木を見て森を見ず―私たちは錯覚に陥っていないか
第10章 「動的平衡」時間論―世界は流れゆく
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