原題:『Blackhat』
監督:マイケル・マン
脚本:モーガン・デイヴィス・フォール/マイケル・マン
撮影:スチュアート・ドライバーグ
出演:クリス・ヘムズワース/ワン・リーホン/タン・ウェイ/ヴィオラ・デイヴィス
2015年/アメリカ
負け戦を敢えて戦う「ブラックハット(悪役)」について
どうやらハッキングにより香港の原子炉を爆破し大豆の価格高騰を導いた理由は、マレーシアの錫の鉱山地区を破壊して錫の価格高騰によって儲けようと企んだ者たちの予行演習らしいのであるが、鉱山と原子炉を同等に扱うこと自体が間違っているとしても、ハリウッド映画の放射能に関する認識の甘さは今に始まったことではないから置いておくとして、それでもハッキングの様子の描写はおざなり過ぎると思う。主人公のニコラス・ハサウェイとチェン・リエンがハッキングによって敵から7000万以上の大金を盗み取ったにも関わらず、そのまま逃げずに敵の仲間に加えるように要求した理由は、彼の友人であり彼女の兄であるチェン・ダーワイを殺された仕返しをするためだったと思うが、そのような意図が上手く描かれていないように思う。
本国では興行的に大失敗に終わった本作であるが、全体的に終始画面から漂うどこか乾いた諦念は見逃せないと思う。