梅沢富美男、大腸検診で「ポリープ」発見 今井さん忠告で「救われた」
2015年6月25日付毎日新聞「くらしナビ」欄の高野聡・MMJ編集長の「ニュースな医学」の
「『がん体験談』に学ぶ」というコラムを少し引用してみたい。「俳優の今井雅之さんが5月末、
大腸がんのため54歳の若さで亡くなった。4月に舞台降板を発表して間もなくの訃報だっただけに、
衝撃は大きかった。会見を伝えるテレビで見た今井さんのほおはこけ、元気な頃の野性的な風貌の
面影はなかった。『夜中に痛みと戦うのはつらい』『モルヒネで殺してくれと言いました。安楽死
ですね』。苦しい闘病生活を語る言葉に一点の誇張もないだろう。実体験に基づく率直な告白だから
こそ、視聴者の感情も揺さぶられたと思う。しかし私は『がんの痛みは緩和できないという誤解を
また広めてしまう』と感じた。一取材者の立場の私がそう感じるのだから、がん緩和ケアに携わる
医師が同様の危惧を覚えたのは当然だ。永寿総合病院の廣橋猛がん診療支援・緩和ケアセンター
長はその一人だ。廣橋さんは『夜中にがんの痛みで眠れないのは、痛みの緩和が図られていない
状態。必要な鎮痛薬が使われていないのでは』と今井さんが受けた治療に疑問を呈する。医療用
麻薬でがんの痛みを和らげることができるはずなのに、眠れないほどの痛みが容認されていたと
すれば問題だという。またモルヒネについても『命を縮める薬ではなく、適切に使って苦痛を
和らげる薬』と説明し、報道が苦痛に耐えた男気を強調するばかりで、『適切な緩和ケアを
受けられていなかったのでは』という視点に欠けていたことを嘆く。」
つまり今井雅之は最初は「腸の風邪」と誤診され、最期も適切な緩和ケアを受けられなかった
ことになる。売れている芸能人であり幅広い人脈もありながら最初から最後まで優秀ではなくても
まともな医者に診療してもらうことができなかったということが不思議でならないのである。