原題:『ストロボ・エッジ』
監督:廣木隆一
脚本:桑村さや香
撮影:山田康介
出演:福士蒼汰/有村架純/山田裕貴/佐藤ありさ/入江甚儀/黒島結菜/小篠恵奈/松尾薫
2015年/日本
最後に転ばない主人公の不明瞭なキャラクターについて
オリジナルストーリーがどのようになっているのか分からないが、同級生の一ノ瀬蓮と安堂拓海の友情を壊さないために蓮との関係を断つという主人公の木下仁菜子の心情が上手く理解できなかった。仁菜子と蓮がどのような関係であろうと蓮と拓海の関係は冷えることなく続いているからである。
演出面に関して言うならば、大量の花火が打ちあがっている夜空を背後に仁菜子がほとんど花火に関心を示さずに歩いているシーンや、学園祭のポップな装飾やシャボン玉など目を引くカットも無論あるとしても、最後に蓮が一人で帰途につき、後から仁菜子が追いかけてきた時に、蓮が乗っているはずの電車が出発してしまい間に合わなかったのであるが、何故か蓮が列車から降りていてホームにいるというシーンは明らかに不自然であろう。それよりも追いかけてきた仁菜子が「いつものように」転んでしまい、それを目撃した蓮が扉が閉まる直前に車両から降りるという展開の方が自然なのである。もちろん女子学生をターゲットにした作品に細かいことを言っても仕方がないのではあるが、それまで仁菜子が転んでいた伏線が活かされないことがなんとも残念なのである。