原題:『呪怨 -ザ・ファイナル-』
監督:落合正幸
脚本:落合正幸/一瀬隆重
撮影:岡田博文
出演:平愛梨/桐山漣/おのののか/柳ゆり菜/松浦雅/最所美咲/袴田吉彦/佐々木希
2015年/日本
実験さえ試みぬまま失敗してしまったホラー映画について
よくよく考えてみればホラー映画も「アイドル映画」として実験が試みられるものであり、清水崇や黒沢清や中田秀夫などが独特の映像を生み出したのである。そして「ザ・ファイナル」と題された本作は本シリーズの集大成であり、観客は「呪怨」という長い物語にどのように決着を付けるのか期待して観に来ているはずである。例えば、前作『呪怨 終わりの始まり』において学校の教師だった生野結衣が不登校の佐伯俊雄の家を訪れ、深く関わろうとしたことで命を落とすというストーリーの流れは納得できるのだが、本作において伯父の子供である俊雄を預かった玲央の家が呪われるのはともかく、玲央の友人のまどかや碧のように佐伯伽椰子と俊雄の怨念が薄い脈絡の人物にまで過剰に伝染し死に至らしめるのは納得しづらく、「輪廻」という「お約束」に物語が回収されてしまい驚きが全くないのである。『貞子VS伽椰子』のようにキャラを戦わせ始めたら物語を重視するようになるため「実験」は終わったも同然である。『劇場霊』(中田秀夫監督 2015年)に期待しよう。でもそれはもはや監督の演出よりも主演の島崎遥香の演技になのだが。