原題:『Tomorrowland』
監督:ブラッド・バード
脚本:ブラッド・バード/デイモン・リンデロフ
撮影:クラウディオ・ミランダ
出演:ブリット・ロバートソン/ラフィー・キャシディ/ジョージ・クルーニー
2015年/アメリカ
「全体像」が見えてこない「テーマランド」について
『チャッピー』(ニール・ブロムカンプ監督 2015年)同様に本作も物語の時系列が上手く掴めなかった。冒頭で既に大人になっている主人公のフランク・ウォーカーが自分が子供の頃の体験を語っている時には、「残り時間」が66日のように見えたが、後半で再び同じシーンが映し出された時には58日になっている。このデジタル時計がゼロに向けて「カウントダウン」されることはなく、スリリングさに欠けるのである。
しかしそのような些末なこと以上に本作が抱える深刻な問題は、「トゥモローランド(Tomorrowland)」の全体像が見えないことで、例えば、ラストでギターを弾いている日本人のストリートミュージシャンがピンバッジに触れて、あのような草原に連れていかれても、本人は音楽を奏でて多くの人たちに聴いてもらいたいと思っているのだから逆に迷惑千万で、本作の良さが、実際にディズニーパークにある同名のテーマランド同様に最後まで分からなかった。アダルトチルドレンであるフランク・ウォーカーを含む子供たちの「夢」と大人の「将来設計」を一緒くたにしてしまうから訳が分からなくなってしまうのである。