原題:『Outcast』
監督:ニック・パウエル
脚本:ジェームズ・ドーマー
撮影:ジョエル・ランサム
出演:ヘイデン・クリステンセン/ニコラス・ケイジ/アンディ・オン/リウ・イーフェイ
2014年/中国・カナダ・フランス
「リーアム・ニーソン物」と「ニコラス・ケイジ物」の違いについて
「リーアム・ニーソン物」という「ジャンル」の話は既にした通りで、近年のそのクオリティーの落ち込みは深刻ではあるものの、それでも興行的にはヒットしているからまだ良いのである。寧ろ問題なのは近年の「ニコラス・ケイジ物」であろう。作品のクオリティーと共に興行収入も著しく低下しているからである。
本作は『ラストサムライ』(エドワード・ズウィック監督 2003年)でスタントコーディネーターを担当したニック・パウエルの初監督作品らしいのであるが、12世紀の聖十字軍の戦士(クルセイダーズ)と中国の王族との「邂逅」がストーリーを面白くしているようには見えない。『ラストサムライ』において多少なりとも描かれていた西洋と東洋の文化の違いが本作においてはほぼ無視されており、子供や女性などの弱者が最初に戦争の犠牲になるというメインテーマは文化に関係なく普遍的なもので、興味深い時代設定は全く活かされておらず戦闘シーンは既視感に満ち溢れ地味に見える。
ラストで完全に死んだと思われたジェイコブもリアンも生きており、それはどうやら続編を製作する都合によるものらしいが、製作国の一つであるフランスでは本作はビデオスルーになってしまっている。中国ではヒットしているのかもしれないが、どう観ても面白いとは思えない。しかしあの状況でニコラス・ケイジが演じたガレインも生きていたら逆にその徹底した荒唐無稽さが面白くなるかもしれないが、いずれにしても続編を観なければ分からない。