MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『新宿スワン』

2015-06-07 21:24:25 | goo映画レビュー

原題:『新宿スワン』
監督:園子温
脚本:鈴木おさむ/水島力也
撮影:山本英夫
出演:綾野剛/山田孝之/沢尻エリカ/伊勢谷友介/金子ノブアキ/豊原功補/山田優
2015年/日本

成人映画に追い込まれる風俗嬢の生態について

 そもそも主人公の白鳥龍彦と南秀吉の「因縁」の経緯がよく分からなかった。龍彦は中学生の時には番長という立場であり、一方秀吉は喧嘩に縁の無い生活をしていたようであるが、他のグループと大乱闘になり、秀吉が龍彦をナイフで刺そうとした際に龍彦を守ろうとした仲間が代わりに刺され、秀吉は少年院に入ることになったのである。そして久しぶりに龍彦と遭遇した秀吉は龍彦に敵愾心を持つのであるが、普段から龍彦が秀吉をいじめていたわけでもなく殺そうとしたのは秀吉の方なのにその異常とも見える敵愾心がどこから来るのかよく分からず、クライマックスのビルの屋上で2人が友情を確認するシーンがいまいちピンと来ないのである。
 それはそうと『東京難民』(佐々部清監督 2014年)や『闇金ウシジマくん Part2』(山口雅俊監督 2014年)同様に本作においても本来は風俗嬢の物語が男性の主人公の「成長物語」に変換されて描かれていることが気になる。そういう意味で『赤線地帯』(溝口健二監督 1956年)がNHKBSプレミアムでわざわざ6月1日に放送されたことに何らかの「批評」を感じたのである。


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